ポケットのビー玉のような詩
フランス・ニースに在住する俳人、小津夜景の『いつかたこぶねになる日』を読みました。おだやかな日常を綴りながらも、時おり漢詩への扉をそっとあけて寄り道させてくれるようなエッセイ集でした。「たこぶね」というかわいい響きに惹かれて手に取りましたが、異国のかおりと教養の深さに魅せられゆられて、見知らぬ詩の王国に連れて行かれるような、なんとも不思議な本でした。いくつもの詩が身体に染みこんでいる人は、なんてことのない瞬間にふとそれらを思い出せるようで、それが心底すてきだなあ、いいなあと思