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「持ち家は負債」という洗脳から自由になりましょう

ロッシーです。

「持ち家は負債だ。だから家を買うのはバカだ。」

という言説が多いですね。

ネットのインフルエンサー達も「家を買うなんてアホ」みたいに言っている人達ばかりです。

「家は負債だ」

という言説は、ロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん・貧乏父さん』から始まったと思います。

また、橘玲氏の『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』でも、持ち家信仰について鋭い考察がなされています。

こういった本を読んだ人は、「家を買うべきではない」という意見を持ちやすいかもしれません。

でも、それが「絶対正しい!」と思い込むのはどうなのでしょうか。


持ち家そのものは負債ではありません

そもそも、持ち家は本当に負債なのでしょうか?

以下は、「金持ち父さん貧乏父さん」からの引用です。

「もし君が今日働くのをやめても、資産は君のポケットにお金を入れてくれるが、負債はポケットからお金をとっていく。負債を資産だと言う人が多すぎる。資産と負債、この2つの違いを知ることがとても大事なんだよ。」

この考え方によれば、ポケットからお金をとっていくのは持ち家それ自体ではなく住宅ローンです。

つまり負債なのは住宅ローンであり、持ち家は負債ではありません

ここのところは正確に理解しておく必要があります。

会計上の処理としてもそのように区分することが正しいです。持ち家は資産計上しますが負債計上はしません。

仮に、あなたが持ち家を全額キャッシュで買ったらどうなるでしょうか?

住宅ローンはないのですから負債はゼロですよね。その場合、持ち家はあなたのポケットからお金をとっていくでしょうか?とっていきません。

もちろん、家の管理費用や修繕費用などは発生しますが、それは車やバイクや楽器など、あらゆるものがそうです。持ち家だけに特有のはなしではありません。

持ち家は「資産」で、住宅ローンが「負債」である。

このように正確に理解することで、まずは

「持ち家を買うこと = 負債である」

という思い込みから自由になったほうが良いと思います。


でも、持ち家だと損をするでしょ?

「持ち家ではなくて住宅ローンが負債だということは分かった。でも、持ち家が資産だとしても、損をするのなら資産とは呼べないのではないか?」

と思う人もいるでしょう。

はっきりしておきたいのは、持ち家を手に入れると「絶対的に損をする」わけではありません。それが真実なら、だれも家を買いませんよね?

金持ちで持ち家に住んでいる人達は、わざわざ損をするほどのお人よしで、お金に関するリテラシーに欠けているのでしょうか?

そんなことはないですよね。むしろ逆です。彼らのほうが一般庶民よりもお金に関するリテラシーは高いです。

持ち家で損をするのは「資産価値」が下がるケースです(逆に資産価値が上がれば得をします)。

しかし、資産価値が下がったとしても、これは株式投資でいうところの「含み損」と同じことですから、あなたのポケットからすぐにお金をとっていくわけではありません。

3000万円で買ったマンションの資産価値が下がり、2000万円になったとしましょう。あなたが差額の1000万円をキャッシュで支払う必要はありません

この差額はあくまでも評価上の損ですから、将来マンションを売却するときに、この1000万円の含み損が確定されるわけです。

でも、これも株式と同様にどんな資産にでもいえることで、持ち家に特有のはなしではありません。

不動産、株式、金、暗号通貨など、ありとあらゆる資産は、常に資産価値の変動にさらされているからです(ちなみに現金もそうです)。

要するに、持ち家を買うと損をするわけではなく、持ち家の資産価値が下落した場合に含み損を抱え、実際に売却するときにその損失が確定されるということです。

「持ち家を買うと損をする」可能性があることと、必ず損をすることとは天と地ほどの違いがあります。

そのような思い込みから自由になりましょう。


持ち家と賃貸どちらが得か?という質問に意味はない

よく「持ち家 vs 賃貸 どっちが得か?」みたいな特集があります。

こういう記事はいつの時代でも見かけます。

つまり、それほど結論が出ないということです。

だから、どちらが得かどうかなんて「絶対にわかりません」

どちらかが絶対に得です!と断言していたら、それはです。

なぜそのような嘘をつくのでしょうか?

それはその嘘をつくことで自分が儲かるからです。賃貸ビジネスをしている人は、賃貸が得だと主張し持ち家派をディスるでしょう。

分譲ビジネスをしていたら、持ち家が得だと言うでしょう。

それだけのことです。情報には、発信者のバイアスが常にかかっていることを忘れてはいけません。

そもそも、賃貸とか持ち家とかざっくりした区分けで、損得が分かるわけがありません。個別の不動産や地域によっても結論は変わりますし、未来の資産価値など誰にも分りませんから、断言しようがないのです。

仮に賃貸が絶対に得なら、世の中全員賃貸派になっています

その場合、賃貸物件を所有する人(つまり持ち家派のこと)はいなくなってしまいますよね。あえて損をしてもいいというボランティア精神にあふれた大家でもいない限り。

つまり、賃貸派も持ち家派も、それぞれの論拠に基づき自分の選択が得だと思っていて、お互いに共存しているのです。

「持ち家 vs 賃貸の対決には結論がある」という思いこみから自由になりましょう。

こういうタイトルを見たら、その内容は即スルーするのが正解です。

持ち家と賃貸の違いは資産価値の変動リスクがあるかないか

持ち家と賃貸の最大の違いは、「資産価値の変動リスクをとるかとらないか」です

持ち家を選択する人は、資産価値の変動リスクをとるわけですから、資産価値が下がれば、売却時に損をしますし、資産価値が上がれば得をします。

賃貸の場合、そもそも資産価値の変動リスクをとらないことを選択したわけですから、資産価値が上がろうが下がろうが関係ありません。

色々と違いはありますが、両者の違いは突き詰めればそれだけの話なのです。

インフレになり物価が上昇する局面や、資産バブルが発生する局面なら持ち家のほうが有利になるかもしれません。

でも、そんなことを正確に当てられる人はいません。


賃貸だって、あなたのポケットからお金をとっていく

「持ち家は負債なのに買うなんてバカだ!」

と「情弱」扱いする人まで見受けられます。ひどいものです。

そのような人に聞きたいです。

「あなたは一体どこに住んでいるのでしょうか?」

空中に住んだり、河川敷に住んでいるのでしょうか?でないとすれば、賃貸で生活をしているわけですよね。

ということは、大家に毎月家賃を払っているわけです。

つまり、賃貸の人だってポケットからお金をとられているわけです。しかも、賃貸派が情弱扱いする持ち家派に(笑)。

さて、賃貸で発生する家賃は負債でしょうか?

いえ、負債ではありません。

家賃は、会計的にいえば「費用」です。つまり、消費的な性格をもつものです。

でも、会計上の位置づけはともかく、費用だろうが負債だろうが、あなたのポケットからお金をとっていくのは同じです。

費用だからお金をとられてもOKで、負債だからお金をとられるのは情弱というロジックは、私には理解ができません。

こういうのを朝三暮四というのかもしれませんね。

住宅ローンでお金をとられる人を、賃貸でお金をとられる人が笑うという構図は、「目くそ鼻くそを笑う」のような気がしてなりません。

「持ち家だけが、あなたのポケットからお金をとっていく」という思いこみから自由になりましょう。


賃貸のほうが、マージンを多く払う必要がある

前述のとおり、賃貸をするということは、大家から家を借りるわけです。

大家は、家を維持するもろもろのコスト(固定資産税なども含む)に、自分の利益を上乗せして貸さないと損をしてしまいます。

つまり、賃貸を選択するということは、そのマージン分だけ多めにポケットからお金をもっていかれるわけです。

その分メリットもあります。そのマージンを上乗せして家賃を大家に払うことで、賃貸をする人は「資産価値の変動リスク」を免れることができます。

仮に大地震が発生して自宅が倒壊し、持ち家の人は資産がゼロになってしまったとしても、賃貸であれば無関係です。

リスクを負うのは所有権をもつ大家であって賃借人ではありません。

賃貸というのは、そのようなリスク回避のためのマージンというプレミアムを大家に支払っているわけです。

だから、当然そのプレミアム費用分は損をします。

「賃貸だから得」という思いこみから自由になりましょう。


では、私たちはどうすればよいのか?

それでは私たちはどうすればいいのでしょうか?

私の知る限り、お金持ちはほとんど持ち家ですから、お金持ちを真似して持ち家を選択すればよいのでしょうか?(ホリエモンは賃貸派だったような気がしますが例外的でしょう)

そうともいいきれません。

そもそも、お金持ちは豊富な資産がありますから、それを株式や不動産など多種多様なアセットクラスに分散することで、資産価値の変動リスクを低減することが可能です。

そんな資産をもたない私たち一般庶民には、お金持ちの真似をすることは不可能です。

仮に一般庶民が日本で持ち家を購入すると、それだけで資産ポートフォリオのほぼすべてを持ち家が占めることになります。

そう考えると、持ち家はリスクが偏りすぎるので得策ではないのかもしれません。

となると、やはり賃貸一択なのでしょうか?

そうともいいきれません。


私の経験

賃貸は、さきほど述べたとおり、マージンという名のプレミアムを支払う必要があるわけです。

そして、日本の賃貸事情は良くありません。なぜなら、オーナーが儲けようとすれば、極力高い家賃で、極力コストを抑えた物件を貸すことが最も合理的な戦略になるからです。

つまり、家賃が同じであれば、コストを下げるために、物件の品質を下げれば下げるほど大家の利益になるということです。そういうインセンティブが大家側には働くわけです。

私は賃貸物件と分譲物件の両方に住んだことがありますが、賃貸物件というのは、

「分譲で得られるグレードよりも格段に品質レベルが低い住居を、マージンを上乗せした賃料を支払って住まなければならない」

というものでした。

今は分譲物件に住んでいますが、同じグレードの住居を賃貸で探したら、おそらく毎月の住宅ローン支払い額の約1.5倍を支払わないと住むことができないという感覚です(住宅ローン控除分を考慮したらおそらく2倍でしょう)。

もちろん、居住エリアによっても異なりますが、特に東京の場合には、住居の質と家賃との乖離が非常に大きい印象を受けます。

賃貸であれば、資産価値の変動リスクを回避できるというメリットは確かにあります。しかし、私にはその選択はできませんでした。

「しょぼい賃貸物件にマージンを上乗せした家賃を支払うことと、持ち家に住むことによるQOLの向上を比較考慮した結果、家を買ったほうがいい。」

そういう結論になったので持ち家を選択したのです。

もちろん、これはあくまでも私の場合にはそうだったというだけで、人によって違う結論になるでしょう。家族の有無や人数、資産状況も異なります。

つまり、最終的には個人が選択する話だということです。


もっと自由になろう

「持ち家は負債なんだから、賃貸一択! 持ち家は損するだけ!」

みたいなネットに溢れる言説を鵜呑みにするのではなく、

「ちょっと待って。世の中そんな簡単に断言できるものじゃないですよ。いろんな選択肢があるんだから、思いこみからもっと自由になったほうがよくはないですか?」

ということをこの記事では伝えたかったのです。

著名な人がそう言っているからといって「持ち家は負債だ!」と得意気に言っている人が多いように思います。

著名人が「賃貸でいいじゃん」「家を買うなんてオワコン」と言うからといっても、彼らとあなたでは状況も資産も異なるのです。彼らは家を買おうと思ったら即キャッシュで買えるのです。

そういう人達の意見をまねてもあまり意味はありません。

そういう意見に便乗して、一般人が「家は買うべきではない」という言説をネットで振りまくのはどうなのかなと思います。

巷のコピペされた意見を鵜呑みにせず、自分の頭できちんと思考することが大事だと思います。

家にかかるコストは、人生においてかなりの割合を占めますから、議論が激しくなりがちです。

でも、いくら周囲の意見を参考にしたところで、自分自身が納得できなかったら、その意見どおりに行動はできないのではないでしょうか?

みんなが「賃貸がいい」と言っているから賃貸にするのでしょうか?

みんなが「持ち家がいい」と言っているから、家を買うのでしょうか?

最後は自分で決断するしかないのです。

そのためには、洗脳から自由になったうえで決断することが必要だと思うのです。

皆さんが自由な決断ができるようになることを祈りつつ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

Thank you for reading !


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