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本の感想・僕のバイブル 村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』と本谷有希子『静かに、ねぇ、静かに』

インプットとアウトプット

 僕は、インプットしながらアウトプットができなくて、本を読んでいる時はひたすら読んでいる。
 大体一ヶ月15冊程度が平均。
 読む本は雑多で、日本の小説がメインだけどなんでも読む。
 朝読書して、昼からnoteに書き込んだり、原稿を書いたりというのは苦手。
 読んでいる時は読んでその世界に入っている。
 その物語があまりにも素晴らしいと、その世界にずっといたい。
 あまりにも入り込み過ぎて、出てこれなくなりそうになるときもある。
 真夏の暑いシーンなら真冬でも汗をかくし、雨のシーンなら部屋の中にいながらも、雨音を聞くことが出来る。
 そんなわけで読み終わり、その世界から現実の世界へと返ってくるまで僕は、インプットした内容をアウトプットすることができない。 
 この1週間で読んだ本です。
 

村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』

 僕のバイブルです。
 
 30代になった頃に最初読んだので、20年ほど読み返しています。
 何度も読んでいるけど、50代になった今、読み返しやはりバイブルだった。
 時代背景は昭和のジャパン・アズ・ナンバーワンの時代。
 システム化された高度資本主義経済。
 今僕達が普通に生きている社会ですね。
 若い頃に僕達が生きている社会はどういう社会なのか。それを学んだのはこの本でした。
 景気がとんでもなく良くてなんでも経費で落とせる時代なので今とは全く違うんだけど、そんな時代でも生きにくいと感じる人はいくらでもいるし、日々の息苦しさ、仕事への向き合い方など今も同じ悩みを抱え苦しみの中で生きている人は多く共感できる。
 そういう意味で時代を超えて読みつがれる名作の域に入ってきていますね。
 登場人物も、羊男、その羊男を感じれる13歳の少女ユキも衝撃的。ホテルの受付の女ユミヨシさんは村上春樹作品の中では最高の女性だと個人的に思います。
 そして、何より、近代的なホテルに変わり果てたドルフィンホテル。その中にひっそりと時空を超えて存在する羊男と死の世界。
 やはり名作。

 本当に大事なものは手を話してはいけない。
 この現実を生きていくためには、踊りつづけなくてはいけない。止まっていけない。
 ユキはそんな中で現実世界で力強く生きていく決意をしますが、僕もそう感じましたし、読んだ人もそう感じる人多いと思う。

 かなり回りくどいけど、現実を生きよう。一言でこの作品にメッセージがあるとすればそうなると思います。
 現実を生きる。
 それしか選ぶ道はないんだから。
 名作です。


本谷有希子『静かに、ねぇ、静かに』

 怖かった。
 ゾッとする怖さだった。
 何もかも肯定し、ポジティブに考えるスマホ依存症の男二人と女一人の旅行。 
 スマホで写真を取ってインスタにアップして、始めて旅行にきていることを実感する。
 動画や写真をインスタにアップするために旅行中に編集作業に何時間も費やす。
 間違ったことでも肯定的に捉え、悪いことがおきても、何の対応もせず、それを肯定的に捉える自分たちを素敵だと褒めあい、この鼓動が、このヴァイブレーションがみんなに伝われがいいと悦に入る3人。
 とにかく気味が悪い。
 ここまで頭悪くなれるのかと思うくらい頭の悪い3人。
 迷惑動画のニュースを見た時に、なぜこんなことをしてしまうのかと思っていたけど、こういう思考で、こういうことをしてしまうのかと理解出来ました。

 ちょっと衝撃を受けた作品です。


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