認知症VR体験と遺跡発掘VR体験デート
パートナーである教授に興味津々なわたしは、教授が興味を持った講演会に毎回いそいそと着いていく。
その道のプロが熱く語る講義は大変面白い。
今回は、介護講座で認知症VR体験、
考古学講座で遺跡発掘VR体験をしてきた。
VRとはバーチャル・リアリティーの略で、仮想現実などと訳される。
VR体験できるゴーグルをはめて自分でリアルに体験することもできるし、今体験している人が見ている映像を外から楽しむこともできる。
認知症VR体験では、階段を下りるときの不安定さや幻視が見える体験、
遺跡発掘VR体験では、普段は入れない遺跡の中を探検し、スコップと刷毛を使って発掘する体験をしてきた。
五十代の普通のおばちゃんであるわたしにとって、最先端技術はドラえもんのひみつ道具のようで大変わくわくする。
ただ残念なことに、強度近視、強度乱視、ものがふたつ見えてしまう斜視、そして年相応に老眼であるわたしは、コンタクトの上に眼鏡をかけても完全に矯正されず、立体視検査をするとすべて平面上に見えてしまう視力の持ち主だ。
そのため、VRのリアリティーを感じることが難しかったのである。
それでも、外から映像を見ることができるのでとても楽しめた。
そのうち視力に頼らなくても、脳に直接信号を送って仮想現実を体験できるようになるかもしれない。
まさに映画マトリックスの世界である。
そうなったら、教授とわたしがお爺ちゃんとお婆ちゃんになっても、VRの世界では若い姿でデートできるかもしれない。
いやいや、もっと欲張って美男美女になることも可能だ。
でも、そこでふと考えてしまう。
教授がイケメンになって目の前に現れたらうれしいだろうか。
そもそも仮想現実の世界が美男美女だらけになったら、味のある顔を持つ人の方がステキに感じるようになるかもしれない。
いやまて。美男美女ではなく、さまざまな動物に変身してデートするのはアリかもしれない。
教授とわたしがお爺ちゃんとお婆ちゃんになっていても、野原を自由に走り回ることが可能だ。
などと楽しく想像していたら、教授が
「トイレと食事の時には現実世界に戻る必要があるんだから」と言う。
ふむ。
それを解決したのが映画のマトリックス。
現実世界に帰って来られなくなりそうだ。
さて、無口男子あるある。
日常的に非常に会話が少ない教授であっても、一緒に講義を聞いたり、一緒に何かを体験すると、お互いの感想に花が咲く。
デートに映画が選ばれる理由はこんなところにあるのかもしれない。
そんな訳でせっかくの最先端技術をデートに使用してしまったが、歴史や科学を学習する際、VR授業を受けたら興味がわきそうだ。
未来の技術にはいつでも夢がある。