【心に生きる】舟越桂 森へ行く日 箱根彫刻の森美術館
東京都現代美術館が開館した1995年ごろ。
その常設展示室にある木像が長らく定番の作品として展示されていた。
「静かな向かい風」。
詩的なタイトルに大変感銘を受けた。
その作品の佇まいもすごく好きだった。
無風に近い展示室でも確かに風を感じるような。
私の中で舟越桂さん作品の最高傑作だった。
2024年4月に舟越桂さんの訃報を聞いた際は驚いたと同時に、静かに悲しかった。
個展の開催について
箱根彫刻の森美術館で、個展が開催されると聞いたのは訃報の直後だった。
生前からご本人自身が精力的に準備を進めていたが、開催前にお亡くなりになったという。御本人の意志を尊重し予定通り開催とのことだ。
作品は、80年代末〜近年の作品を展示していたので、自分が惹かれた作品の時代とはすこしずれるが、繊細な木彫りは健在だった。
素材は木なのだが確かに「人の肌」を感じさせる。肌の冷たさと温かさを感じる
その生々しさがある。
周辺作家とのつながり
個展の展示室を出て反対側の展示室へ移動すると、彫刻の森美術館の室内保存作品を見ることができる。
その部屋にあった、船越さん追悼のコーナー。
驚いたのが三沢厚彦ら、他の彫刻の作家との交流である。
若い世代の人たちとしっかり交流があったことを嬉しく思った。
どんなことを伝えたのだろうか。
どんなことが伝わっているのだろうか。
ドローイング作品
(今回、彫刻の森では数点展示有り)
この方はドローイングも良い。
東京オペラシティーアートギャラリーの寺田コレクションが大型のドローイング作品を数点所蔵している。
視点の遠さはドローイングでも健在でまさに「佇む」という言葉がしっくりくる。
こちらは桂さんのお父さんの舟越保武氏の作品も収蔵しており、よく親子で同じ展示室に展示していた。
人を題材にした作品が多い分、その顔の作りで誰が作った作品か、がすぐわかる特徴のある作家さんだったと思う。
作者は亡くなってしまったが、その作品は確かに人の心の中にも生き続ける。
作品と向かい合った時にそう思った。
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