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【勝手に部門を創設して考える】 2023年に見た美術展。

先日参加した マイベスト展覧会2023。
次々公開される皆さんのベストもまだまだ楽しみなのだが、マイベストを決める際、実は結構悩んだ。

2023年度の美術館訪問回数は97回。
見た企画展・コレクション展は126展示。
そのうちnoteにレポを書いたのは82展示。
足を運んだ館は55館。買った図録の冊数は21冊
(12月22日現在)

考えているうちに、頭の中で「写真ならアレだし、近代美術ならあの展示も…」なんて考えていた。
た、楽しい…!
なので今回は勝手に自分でノミネート部門を作り、その中で今年良かった展覧会を振り返る。
一人忘年会開催である。

ノミネート部門は

以下、目次の通り


【現代美術部門】

栃木県立美術館 「富井大裕 今日の彫刻 トルソー、或いはチャーハン」

私の中で今熱い現代、現在美術!というとこの富井さんの彫刻の概念で。
面白いのだ。これが子供にも通じるからさらに面白い。
「面白い!」と思わせてくれるものを現代美術の醍醐味と捉えているフシがある。コンセプチャルアートやもの派、ミニマルアートにグッとくる性分というのもあるのだが。
「ふむふむ、なるほど、へぇ!フフフッ」と笑ってしまう余地のあるもの、私はそういうものを美術として捉えるのが好きなのだ。
難しい顔だけして訳知り顔で見てるだけってのも味気ない。
気軽に見る、リラックスする、肩の力を抜くのも美術では大事な要素。
(作者の意図、やってること、表現が気軽か、というのはまた別の話として)

高松市美術館 「上田薫展 誰も見たことのないリアル」

国立新美術館「蔡國強 宇宙遊」とも迷ったが、自分の中では現代美術原体験に近いところにいる上田薫氏の作品がまとめて見れたこと、それを見るために高松市美術館へ飛行機に乗って行ったこと、が強い。90歳超えてもなお描き続ける。その姿にぐっときた。

【日本美術 古典】


出光美術館 「江戸絵画の華」(2回訪問)

正直、伊藤若冲の真贋はわからないのだ。
でも、「うわっすご!」という純粋な感動。
このご時世、日本に帰ってきたこと。
よく雑誌等で取り上げられていたうわさの絵をこの目で見ることができたこと。改めて数奇な運命の絵画を、本物を見れた感激が大きい。

東京国立博物館「やまと絵 受け継がれる王朝の美」

信貴山縁起絵巻が奈良まで行かずに見れた衝撃。
文字通りあちらさんから飛んできてくだすった。
それを前々から「見たい!」と言っていた息子たちと一緒に見ることができてよかったなぁとしんみりした。それに尽きる。
本気で奈良まで行くつもりだったので、渡りに船だった。


【日本美術 近代】

東京国立近代美術館 「重要文化財のひみつ」(2回訪問)

ボディーブローのような展示だったな、と。
思い返すと「ひみつ」というほど秘密にフォーカスされた展示ではなかったよなぁ、完全にタイトル勝ちな展示でもある。
それでもここを通ったおかげで、その後、他の展覧会を見る時の知識の下地となったことを実感した。
自分の中の時系列理解・整理、にも繋がったと思うと有意義な展覧会だった。
見たその時はすぐに腑に落ちなくても、このように後からじわじわと何かの下地になるような体験をすると、やはり見に行ってよかったな、あの解説には意味があったのだな、と思うのだ。
こちらは2回めの訪問時に図録を購入した。それがまた、良かった。

【来日美術展部門】

国立新美術館「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」

今年海外から来た展示でインパクトが強かったのはテートだ。
時代・ジャンル超えたキュレーションで来日することってそうそうない気がしていて。
今までだと1作家フォーカスや1美術館フォーカス。各美術館ごとにすでに年代・時代の棲み分けがされていることがほとんどで。ポンピドゥーなどが来ると近現代と幅広くなるが、今年はキュビズム(ある時代に特化された芸術潮流)とかマティス単体とかだった。
そんな中、テートというイギリスの美術館システム面白さも知れたし、貫かれた企画テーマが大変おもしろかった。
「ターナーからエリアソンまで」って裏テーマ的なコピーは、2022年よく見かけたキャッチコピー「モネからリヒターまで」に通じるものがあるかもしれない。

次点 東京都美術館「マティス展」
思い入れのあった展覧会だったので無事開催されたことに安堵。
そして16歳ごろ見た作品と再会したこと、という非常に個人的な思いで今年の感慨深いで賞。

【写真部門】

SCAI PIRAMIDDO「赤瀬川原平 日常に散らばった芸術の微粒子」

原平さんを写真家としての側面を今、この時代に提示してくれて感謝。
やっぱり原平さんの写真が好きだ。
原平さんの目、視点が好きなのかもしれない。
なんやかんや日常の視点って私の中では大事なのだ。
生きている中はほぼ日常な訳で。
その視点を真似しようと思えば原平さんと同じ楽しみ方を持つ事ができる。
大きな特別はなくとも日常が楽しくなるのだ。
日常に散らばる美術・芸術のおすそ分けをしてくれたのが原平さんだ。
プリントするまでの写真は撮れなくても、スマホというツールで簡単に写真を撮る・対象物を採取をしていくことができる。
真似事を楽しませてくれる。自分で挑戦してみることができる。
結果、美術が身近になる。それが大事なんだ。


次点 千葉市美術館「前衛 写真の精神 なんでもないものの変容」
アヴァンガルド系写真、前衛時代の写真への理解と流れをすっと飲み込んで理解に繋がった展覧会。キュレーションが最高だった。松濤美術館でも始まったのでもう一度見たい。


【ベストコレクション(常設)展】

東京都現代美術館生誕100年サム・フランシス  横尾忠則 水のように
建物を活かしたでっっっかい作品の展示、今年のコレクション展示室トップは東京都現代美術館だ。
サム・フランシスの絵画は素晴らしかった。

で、2023年後半、常設で始まった「横尾忠則 水のように」は最後のオチに爆笑してしまった。

あの展示はもう横尾さんにしかできない。

東京都現代美術館には27年近く通っているがコレクション展示室の最終室に絵画が飾られているのを見たのは、初めてだった。

何が起きていたのか、というと、宮島達男氏の発光ダイオードの作品の隣に、横尾さんの暗夜行路が展示してあった。
この案を考案した人、だれ。

この状況。宮島達男氏の作品横に横尾忠則氏の暗夜行路。
最終室に入った瞬間爆笑してしまった。
こんな展示許されるのこの2人だからこそだろうに。


東京国立近代、東京都現代のコレクション展示は相当気合入れていかないと見れない。最近は企画展のついでに見ることをしなくなった。今年はすべて別日で訪問。体力が落ちているというのもあります。物理的にも無理。
そのため、この2館に関して常設展入場フリーの友の会に入っている。

次点 群馬近代美術館
初訪問の美術館だったが、所蔵品の豊富さ、面白さに大変満足した。企画と常設の展示室の広さ、同じぐらいあるんじゃないか?この所蔵品をしっかりとした点数展示する美術館は大変好感が持てる。

次点 京都国立近代美術館

赤瀬川さんとデュシャンならべてくれてありがとう。芸術って、なんでしょうね?ここの裏に流れるテーマに今年いろんな美術館で取り上げられた瀧口修造生誕120周年というのがありますね。

・総合(全部ひっくるめて結局ベスト)


東京都現代美術館 クリスチャンディオール
いろんな記事で語っているのでここでは割愛です。笑

総括

今年も満足に美術館へ足を運ぶことができた。
嬉しかったのは夏の現代美術館の夜間開館。いつもやって欲しいなぁ。
だいたい金曜日20時ぐらいまで開けていてくれると、働いている人間でも時間を作りやすい。
8時出社16時半過ぎ退社とかが可能だから、というのもあるけれど。
来年のもくろみとしては東北方面へ出向くことですかね。とりあえず青森に行かねば、と思ってます。有休が火を吹くぜ!

今年も沢山の方々から、スキ、やコメントをいただきました。
温かいお気持ちばかりで本当に感謝しています。
今年82本書けたのも皆様の応援あってこそです。
ありがとうございます。


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