骨盤を“正しい”位置にもっていってもプラスにならないこともある
骨盤の歪みを正し、正しい位置にしよう!…みたいな言葉を聞くことがたびたびあります。
例えば、運動する時に、「骨盤を立ててください」、「骨盤を正しい位置にしておきましょう」とか「ニュートラルにしておきましょう」とか言われたり。
そして、それを実践しようと頑張って、股関節前が痛くなる、前ももがぱんぱんになる、そんな相談もたくさん受けてきました。
そもそも骨盤の“正しい”位置とか、ニュートラルとは、どこなのか。そして、それを正すことはプラスなのか。そこを今回は話していこうと思います。
骨盤の正しい位置?
骨盤矯正、と言ったりしますが、私はこの“矯正”という言葉が好きではありません。自分自身が歯列矯正をしていたからでしょうか。なんだか、無理やりこうしてやるぞ!というイメージがあるのです。笑
そもそも骨盤の正しい位置とはどこなのか。はたまたニュートラルと呼ばれる位置はどこなのか。これは何をもって正しい、もしくはニュートラルと言うかにもよると思いますが、
私が今までによく耳にしたニュートラルの定義は、
仰向けに寝た時に、骨盤の前側の左右の出っ張り(ASIS)と恥骨を結んだ面が地面と平行な位置。
でした。
座っている時に“正しい”位置というと、
坐骨に体重が乗る場所。(厳密に言うと、その中でもいろんなエリアがあるんですが)
と言われることが多いですね。
ちなみにロルフィング®︎で学んできた骨盤の位置は、“正しい”とか“ニュートラル”ということではなく、今このチェックしている瞬間、一番身体に伸びが生まれる骨盤の位置はどこなのか、ということでした。
なので、“正しい”位置というのは、人によっても違うし、時間や、その時の状況によっても異なるのが普通である、という考えです。
そして、骨盤がずーっと同じ位置にいるのではなく、必要に応じて動けることを重要視しています。
そんなロルフィングを学んできた私なので、私自身も骨盤に関してみていくときは、
その人にとって今最適な場所がどこで
一箇所にとどまるのではなく、動ける可動性があるのか
というところをみています。
骨盤を“正しい”位置にする利点
骨盤をいわゆる“正しい”位置にする利点としてあげておくと、
骨盤が良い位置にいてくれると、骨盤とつながる背骨も良い位置にいきやすく、機能しやすくなってくれることが考えられると思います。座っている時であれば、腰痛や肩こり改善にもつながります。
また、骨盤は脚とも繋がっているので、骨盤のポジションが良ければ、股関節の柔軟性、脚の使い方にも影響があるでしょう。
ですが、その“正しい”位置に無理くり当てはめていくのか、もしくは、無理なくその“正しい”位置にいけるのか、が関わってきます。
前者の、力を入れることでその位置にもっていっている場合、例外もあるとは思いますが、利点は激減します。上に挙げた利点を得るためには、力をぎゅっと入れない状況で、その“正しい”位置にいられるのとが大切です。
“正しい”位置にしても生まれるマイナス点
無理に力をいれて“正しい”位置にもっていった場合、利点を得るどころか、マイナスにつながっていきます。
よくある例は、運動やストレッチで、床に長座やあぐら、開脚などで座る時。指導者に「坐骨の上に座ってください」「骨盤を立ててください」と言われて、ぐいーっと頑張って力を入れて骨盤を“立てる”こと。
この時、股関節の前側や、股関節の付け根が、ギュッとなったり、前腿がぱんぱんになったりします。→自分は無理して骨盤をこの位置にしてるのかどうかが、これでわかります。
どんなに骨盤が正しいと言われる位置にあっても、この、
・股関節前がぎゅっと力が入る
・股関節前がつまる
・前ももがぱんぱんになる
ということがあれば、私の個人的な見解ではプラスなことは生まれません。身体を動かしたぞ、という運動にはなってくれますが、もしそのポジションでストレッチをするのなら、効果はそこまで出ないと思っていていいと思います。
座ってストレッチをする時、大方、前ももをぱんぱんにしたいわけではなく、裏ももを伸ばしたいことが多いのではないかと思いますが、上記の状態で無理して骨盤の位置を保っている場合、裏ももが伸びる以上に前ももが張り、脚は太くなっていきがちです。柔らかくなるどころか、股関節の可動域が狭くなることも。
マイナス点の改善策
改善策はあります!
床で上にあげたような姿勢になる時に、おしりの下にヨガブロックや厚みのあるものを入れて高さを作ってあげたり、長座に関しては、膝を少し曲げてあげたり。
骨盤が背骨ともうまくいきやすい位置にするために、坐骨の上に座ってはあげたいのですが、それをおしりの位置を少し高くしてあげることで、力でぐいーっとしなくてもやりやすくなります。
ぜひお試しください♪
チェックポイントは
・股関節前がぎゅっと縮こまっていないか
・前ももがぱんぱんじゃないか
というところです。
詳しくはこちらもどうぞ。
https://note.com/rolferyuki/n/ne9d0227f1f04
まとめ
無理して骨盤を良いポジションに持っていっても、そこに無駄な力が入っている場合、なかなか良いパフォーマンスは生まれません。
ストレッチも効率良くいかないし、身体のどこかが緊張していれば、他の身体の部分にも影響します。腕のストレッチをするから、座ってる時にちょっと股関節が辛くてもいいや、と思うかもしれませんが、身体って全身でバランスをとっているので、腕のストレッチにもプラスには働かないんです。
骨盤がその人にとっての良い位置にしよう、と心がけるのはとても良いことです。ただ、それを力づくでやるのではなく、どうしたら比較的“楽に”そこにいけるのかを考える必要があります。
そんなん難しいじゃん!という人は、まずは試しに、床に座る時に、何もなしで座るのと、お尻の下に高さを作ってあげてそこに座るのと、どっちが楽に坐骨に座れるのかを試してみてください♡
(椅子も同じ。床よりおしりの下に入れる高さが少なめでOK)
骨盤の位置を正さなきゃ!と頑張りすぎて、股関節が辛い、太ももがぱんぱんになる、という声をたくさん聞いてきました。少しでも、そんな「ぎゅっとしてでも正さなきゃ!」という気持ちが和らいでくれたらいいなと思います。
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