【水曜日はスキレター】完成を〆る。
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長きにわたって連載(?)してまいりました、楽曲作品「夜標 - night sign -」関連の記事も、今回で最終回。
本日、水曜日ということで「スキレター」の形でお送りしたいと思います。
*書家・彩雪さま。
YouTubeサムネ画面にもどーんと出てますが、書家・彩雪さんに今回作品の題字を書いていただくことができ、彩雪さんのnote記事でも楽曲について書いていただけました*
わーい、ありがとうございます!
ということで、本日は彩雪さんに書いていただいた「タイトル題字」について、制作話を書いていこうと思います。
【01.「夜標」】
この作品の「夜標」というタイトルは、歌詞を書いていただいた小川千紗さんと話しながら、見えてきたものでした。
イメージや語感から出てきたタイトルでしたが、調べてみると造語ではないことが判明。
夜標【やひょう】
灯台、灯標、灯浮標などの航路標識における光波標識のひとつで、海上交通の激しい港の入口、狭水道、 暗礁や浅瀬の多い沿岸航路付近などにおいて、その危険な場所を示したり、船が自分の位置を確かめたり、あるいは航路を指示するために夜間に光を使ってその位置を知らせる標識のこと。
意味的にもバッチリ合っていたので、「この作品名は、これにしよう」と決まりました。
千紗さんと世界観を話していく中で、なんとなくお互いに宮沢賢治「銀河鉄道の夜」のイメージが共通してあることがわかりました。
僕的には、それは「千紗さんが書いた歌詞世界から感じたもの」で、イメージの発端って千紗さんにあると思ってたんだけど、千紗さん的には「楽曲を聞いてイメージしたもの」であるわけで。
どっちが最初に投げたキャッチボールなのか曖昧なところではありますが、きっと誰かとイメージをすり合わせるって、こういう感じのことなんだろうって思います。
ま、ともかく。
そんな感じでタイトルは「夜標」と決まりましたわけで。
でもまだ、その時点では、正直「題字」って考えは特になかったんですね。
そして制作は進み、akari'nさんの「絵」があがってきて、
そこに千紗さんの「ことば」をのせて、「映像」が徐々に形になってくる中で、僕は思いました。
タイトルを、ポンと頭に出したいな
まずはタイトルを「普通の活字フォント」で載せてみた。
そして、それを見て、僕は思ったのでした。
…これじゃあ、全然ときめかない。。。
明らかに、活字フォントのタイトルが、絵や歌詞の世界観に負けていたんですよね。。。
【02.素材されど表現】
楽曲、千紗さんの歌詞、akari'nさんのイメージ画。
同じくひとつところを目指すイメージが重なって、織り生地のように形になって、世界観が明確になってきていた。
そこに、「活字フォントのタイトル」を載せたときに、既存のそれ自体としては「イメージ」を持ち合わせていないことが浮き彫りになって、そのことを強く感じたのでした。
タイトルにも、「表現」としての存在感が必要だ。
「映像」をつくる上で、「歌詞」「イメージ画」ともそれを成り立たせるための一部な「素材」でありながも、ただの「素材」ではなくて、それぞれが独立して成り立つような「表現」だった。
それは「ポスターのための写真を撮る」のか「表現の写真をポスターにする」のかみたいな似て非なるものだと思っていて、今回の歌詞や絵は後者だった。
…や、千紗さんもakari'nさんも「楽曲のための」「映像のための」という取り組み方ではあったと思うけど、存在感はそれぞれ「いち表現」だったんです。
僕的にも「いち素材としてのもの」をお願いしたつもりは実はなくて、それぞれの「表現」が欲しかったし、そうであるように成り立たせたいと思ってて、まとめる「映像」はそれらを見てもらえるものにしたいと思ってた。
なので、そういうまとめ方をしていました。
そうしたら、「活字フォントのタイトル」を載せたときに、その差があからさまに出たというわけ。
タイトル題字がそこに並んで立つには、それに負けない「表現」としての存在感がないと釣り合わないと、感じたのでした。
そして即座に
「書家・彩雪さん」に「書」で題字を書いていただきたい
と思い描いた。
それは呼吸をするくらいに当然な感じで出てきたものでした。
【03.すぐにピンときた】
その直感を紐解くと、きっと僕の脳内部屋の一番手前にあったのが、僕的に衝撃を受けた「ゆうなって」さんのこの記事。
(ゆうなってさん、何度も貼り付けしてごめんなさい汗)
前回記事でも書いたんですが、この記事は僕的にほんと衝撃だった。
前回はインスピレーション的なところで触れましたが、
「ゆうなってさん流に、彩雪さんを楽しむ」
この行為は、ゆうなってさんのアプローチもさることながら、同時に「それをしたい」と思わせる彩雪さんの「書」の魅力があってのものだと思ったのです。
思い返せば、この「スキレター」の一人企画を始めたとき、僕が一番最初に「この方がスキ」と書かせていただいたのが「書家・彩雪さん」だった。
なんて、素敵な佇まいなんだろう
noteはじめて間もない僕の目に、その存在感が鮮烈だったのを覚えています。
つまりは、当初から僕自身に刻み込まれてた「彩雪さん」っていう引き出しを、ゆうなってさんが「こういうアプローチはどう?」って開けた感じ。
大事にしまってた「彩雪さん」をゆうなってさんが引っ張り出し、独自の遊び方で「その魅力やセンス、ポテンシャルの伝え方」のお手本を示してくださった、という感じなわけです。
ここまで手引きされてたわけですから、今回「タイトルを」って思ったときに、即座に「彩雪さん」って出てきたのは必然です^^
というわけで、お願いしたいロックオンとなれば、いつものことながら「断られるかも」と思いながらも、後悔のないよう意を決してコンタクトを取る。
そして毎度お馴染み、ドキドキの返事待ちですw
…そもそも、僕のことなど認識してくれているのだろうか。
通学の電車で一方的に見かけて告白するみたいな感じになるんじゃなかろうか。や、でも、note記事にコメントくださったりしたから覚えてはいてくれるはずだ。
そう信じよう…、と要らんことまで考えては奮い立たせ。。
そうね、この時間はいつも、まさに告白の返事待ちの心境なのですよ笑
【04.表現されど素材】
彩雪さんからいただけたお返事。
ご希望に添えるように精一杯書かせて頂きます。
やったー!
ご快諾いただき、ありがとうございます*
これでパズルの最後の1ピースがハマって、素晴らしい完成が見えたぜ!
曲を聴かせて頂くことは可能でしょうか?
その方がよりイメージが広がるので。
おゎ、まじすか!
僕の方から「曲を聞いて」って申し出ようと思ってたんですが、彩雪さんの方から言ってくださった。
これってつまり、曲を聞いた上での「彩雪さんのイメージを重ねていただける」ということです。
…当たり前だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、デザインや楽曲制作といったクリエイティブな依頼でも、「事務的なリクエストだけを聞いて形を作る」なんてことも「業務」としては結構あったりするわけです。
脳みそ(作り手のイメージ)を通さずに、手先だけで「カタチづくり」をするような感じの「業務」。
でも。
今回は、そうじゃないんだぜ!
彩雪さんが「イメージを重ねてくれる姿勢」でいてくださってるんだぜ!
このお返事をいただけた時点で、すでに作品が完成したくらいの気持ちになっていました^^
そんなわけで「イメージ」をすり合わせるやりとりが始まりました。
彩雪さんの感じ方、僕のリクエスト、具体的には字の崩し方、線の太さとかを詰め、レイアウトを確認して方向性を固めていくような感じです。
前述したように、作詞の千紗さんとのやりとりの中で、イメージの中に「銀河鉄道の夜」がありました。
タイトルの「夜標」は、「銀河鉄道の夜」に登場する「三角標」に重なるようなイメージで出てきたので、そのことも彩雪さんに伝えます。
三角標。
清書に先立って、彩雪さんから「書」のラフ案が送られてきました。
それを見て思わず、「おぉ」と声を上げた。
その「夜標」の文字は、
そびえ立つ三角標と、そこから星がこぼれる感じ
僕には、そう見えたんですね。
僕は、そこから想起されるイメージをデザインとして起こし、彩雪さんにお伝えしました。
ちょっとイレギュラーなやり方ではありますが、イメージのニュアンスを理解していただいた上で、本番の「書」に向かっていただきたいと思った。
そうすれば、「題字」でありながら、映像に載せる「いちデザイン素材」としても魅力的な説得力を持ち得るものになるだろうと。
もちろん、僕自身も「書」自体としては何ひとつ申し分ないのはわかった上で、それでも「書」に「-night sign-」の英語サブタイトル文字を重ねたのは、「映像としてまとめる際の全体バランス」を試行錯誤した末の着地でした。
…これはかなり色々悩みましたが、今回の「表現コラボレーション」の中においては、「書」に英語を重ねることで「デザイン素材」として馴染みやすくなる、と判断して、そうしました。
継ぎ目を見せなくさせて馴染ませる、みたいなイメージです。
この彩雪さんの「書」に限らず、例えばakari'nさんの「絵」でもそうなんですが、今回は「映像作品」の中で、「いち素材」という要素をもって、他の様々な表現と同居することになるわけです。
そこでは何かが強くてもいけないし、何かが悪目立ちしてしまってもいけない。
馴染み、引き立て合い、それぞれがまんべんなく輝くようにバランスを取らねばならなかった。
「単独行動」ではなく「チームワーク」。
「表現」でありながらも、映像作品の中では「いち要素」としての在り方を求められるわけです。
…でも、そう言いつつも、「書」としての独立した存在感もやっぱり伝えたかったんですよねf^^;
なので、「英語は時間差で重なる」という施しにした。
そうすれば、「書」の姿で見てもらえる時間も作れる。
…これで正解なのかはわかりませんし、自分を納得させるためでしかないのかもしれませんが。。。
ただ、事実として、この映像作品が「題字」で作品が始まり「題字」で〆られたことの説得力たるや、それがあるのとないのとじゃ、見比べてみてその差は雲泥でした。
彩雪さんに書いていただかなかったら、この作品は完成できていなかった。
大袈裟じゃなく、本当にそう思ったのでした。
彩雪さん、本当にありがとうございました*
【05.後日談と締めくくり】
後日、彩雪さんから「書」の実物が届きました。
実物を手にすると、やっぱり存在感が全然違った。
絶対的に「書」だった。
そして当たり前なんだけど、「本当に書いていただいたんだなぁ」って実感。。
これはもう、飾るしかないでしょ。
ということで、フレームに入れてみた。
どーん。
「書」に合わせて「絵」「詞」のデザインもつくってみたんだけど、こう見ると海の上に夜空があるように見えるね*
そして、せっかくなので「CD」の形にもしてみようと。
…や、YouTubeとかネット上の「形」だと、いつ消えてなくなるか、わかんないしさ。(昭和的感覚w)
特に「販売」とか考えてない「手元に記念に残るもの」として、制作に関わってくださった方々に差し上げたいな、と思っています*^^*
って、まだ音源マスタリング中で完成できてないんだけどw
ということで「夜標」制作話、
〆の最終まとめクレジットを以下にまとめてみます。
皆さん、記事書いていただいてありがとうございました*
words : Chisa Ogawa
drawing and painting : akari'n
title calligraphy : Saisetsu
vocal : ama
produced by Tomokazu Kubota
あらためまして、制作にご協力いただきました皆さま、本当にありがとうございました!
そして作品を見ていただき、聞いていただき、記事も読んでいただきました皆さま、ご感想をいただきました皆さまにも、感謝を申し上げたいです*
一緒に作って、「共有」できたこと
見ていただけ、「共感」してもらえたこと。
それは一人では見られない景色、得られない喜びだとあらためて実感できました。
自分の表現が、自分だけのものじゃなくなるという体験。
*noteのご縁で、かけがえのない宝物ができました*
「夜標」制作に関する記事をマガジンまとめ^^
記事も含めて、宝物です*
読んでいただき、ありがとうございました!