心と体 意識とは何だろう その3
一元論 二元論
17世紀にデカルトとガリレオが意識を科学としての研究に適さない主観的な現象と見なしたことで、科学技術の進歩と引き換えに、心を巡る研究はストップした。
意識を巡る基礎研究は進展せず、心は自然界のあらゆる場所に存在するとする汎心論から、意識が世界の根本を成すと位置付ける唯心論まで、あらゆる理論が生まれてきている。
人間は機械みたいなもので、故障したらその中身を変えればいいい、つまり、身体と心(精神)は繋がっていないのだから、中身を変えても問題はないというのが臓器移植に関する現代の一般常識であろう。
この考え方は国によって違っていたり、信仰している宗教によっても「一元論なのか二元論なのか」にも変化を与えます
心身二元論とは
はじめにも書きましたが、心身二元論と聞いて瞬時に思いつく人は少ないと思う。
哲学での「二元論」を理解するには、本格的な哲学として論じられているので理解に苦しむ人が多いのだろう
そもそも「心身二元論」は、「物心二元論」とも呼ばれているので、心身二元論は物心二元論と解釈していいのだろう。
ものとは目に見えるものであり、精神(意識)とは目には見えないものと定義ずけすれば、人間はもともと、意識を単なる生理的現象と考えることに抵抗を持っている。
しかし科学が進歩していくと、思考というのは「ニューロンの電気的興奮」によって起きているということが分かってきました。
しかしここでデカルトの考え方に矛盾が生じるようになります
なぜならデカルトは「脳と心(精神)は別々のモノ」と言っているからです。
一元論
一元論を簡単に言えば、身体と精神はセットであり、脳が心を支配しているという考えですから、思考や感情に至るまで、脳の物理的プロセスと相互に結びついているということになります。
前頭葉に損傷を受けた患者の人格が変化することから日本人の多くはこの「一元論」で考える方が多いといわれています。
一元論は心身一元であるが故に、心は肉体による「制限」を受けます。当然、肉体も精神の影響も受けます。思い通りにならないのが心です。
不安、疑惑、怒り、それは心が独立しているのではなく、肉体の影響下にあるからです。不安を止めたり、疑いを止めたり、怒りを静めたり、心でそうしないようにしようとしたって、簡単に止められないのです。
浄土真宗では、他力(たりき)という言葉を使います。人間にとって、自我意識が生まれる前から存在する肉体は「他力」といえます。
肉体における生理反応である不安・疑惑・怒りなども「他力」なのだと考える森田療法的な考えも生まれています。
つまり「不安・疑惑・怒り」を持ったままで、そこに固着しないで行動をしていくという考えです。
また人が死んだとき日本人は「火葬」です。
遺骨をにしてお墓に納めます。
本来的には仏教の生まれた国インドでは、魂の抜けた肉体は物であるから火葬にしてきれいさっぱりと自然に戻そうとしてガンジス川のような大河に流すのですが、日本では同じ仏教を信じる国ですが少し考え方が違うようです。
亡くなった人の魂(精神)が骨(肉体)と繋がっている」という考えかたです。多分に先祖崇拝観が高い中国の影響があるからだろう。
最近では、墓地難や核家族化で供養するものが途絶えるなどの理由で散骨などが流行ってきているのですが、遺骨を納めるということを家族が自然と引き継いだことにより、一元論の考え方を根強く残しているのです。
再度二元論
二元論を簡単に言うと「形を持たない心と物理的な脳は別々である」ということです
つまり。「心が脳を支配している」ということです。この代表がデカルトです。
心と脳が完全に別々であるといいますが、時にはそうとばかりと言い切れず相互作用もあります。
二元論の考え方はヨーロッパのほうで多いとされており、ヨーロッパでは土葬が主流となっています。
これには明らかにキリスト教が関係しています。
キリスト教の死生観では、個人は復活して天国に行けるという考え方でありそのため、受け皿となる肉体がなければ復活はあり得ません。
心身二元論の問題点
身体は一部が故障しても、その部分を変えることにより修復できるが、心(精神)は修復できないため、身体<心(精神)」の考え方になります
これは身体を機械と同じように人を扱ってしまう怖さが出てきます。この考え方は近代以降に生まれ、市民革命や産業革命が起こったことにより強い精神が世界を変えるという動きの真っただ中で、目に見えないものこそが人間の本質であるとの主張がなされたのです。
その流れでデカルトの「心身二元論」の考え方が生まれました。
私たちは日常的に身体と心が別々のものとは考えてはいません。ストレスにより体の変調を感じます。
考え方は、国や文化、先代の人たちの考え方の受け継がれ方によってどちらが正しいかは変わってくるので一元論二元論の優劣は付けられないのです。
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