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妹の不登校と向き合った2年半――“好き”をきっかけに、変化を引き出す伴走
1. 転機のはじまり――“妹の異変”に気づいた日
妹が学校に行かなくなったきっかけは、部活での人間関係。昔から人付き合いが苦手で、自分の気持ちを言葉にするのがどうも苦手なタイプ。自分では気づかないけど、「わかってほしい」という思いが強いんです。ある日、母からの電話で「何日か学校に行っていないのだけど、なんだか妹の様子がおかしい」との連絡を受け、私は一旦実家へ。ドアを開けると、目の前にはビリビリに破られた紙の山!なんとも言えない光景を目にして、「これはまずいな」と直感的に感じました。
2. 適度な距離を保ちながら、妹の“好き”にアプローチ
とはいえ私も自分の生活があるので、無理に踏み込むのは控え、後日メールでさりげなく「ちょっと教えてほしいんだけど~」と、軽く連絡してみることにしました。さて、ここで何を聞いたかというと…
「今オススメのハマってる漫画、何?」と。
不登校になると「誰にもわかってもらえない」と思い込んでしまうことが多いもの。経験のある私だからこそ、まっすぐ「どうしたの?」と聞かないほうがいいと判断しました。そこで、彼女の“好き”に興味を示し、彼女との共通点を作る作戦に出たわけです。
すると、1週間ほどして妹から「作品名」が送られてきました。
姉:「ありがとう!読んでみる。どんなところが面白かった?」
妹:「帰ってきたら貸してあげる」
会話のキャッチボールにはなっていませんが、返事が来たことが何よりも大事。これを皮切りに、少しずつメールでのやり取りが続きました。そして1年半かけて、妹が少しずつ、学校や将来について相談をしてくれるように。もう高校には行きたくない、でも将来も不安…そんな話を少しずつしてくれるようになりました。
3. ターニングポイント――妹が再び一歩を踏み出した日
妹が引きこもり始めてから2年半。高校を自主退学して1年ほどたったある日「ママが気を使ってくるのが嫌」とのこと。そこで私は上京していたこともあり、「じゃあ遊びにおいでよ?」と軽く誘ってみたところ、本当に来てくれました。
到着した妹を待っていたのは、私の“ホームグラウンド”、馴染みの飲み屋。そこでは常連のおじさんたちが興味津々で妹をチヤホヤ(笑)。ほどなくして、みんなの人生談義が始まりました。彼らはそれぞれ独特な生き方をしていて、人生の選択を楽しんでいるタイプばかり。彼らのエピソードがまた濃いのです。
「俺なんて会社2回つぶしてる」とか、
「音楽のために会社員してるだけ」とか、
「職場サークルの海外公演行きたくて転職しないんだ」とか(笑)。
こうした価値観に触れたのは、妹にとっておそらく初めてだったと思います。周りにいるのは「真面目に働く大人」ばかりだった妹が、自分の人生を選んで楽しんでいる大人たちに出会う――これが妹の大きなターニングポイントになりました。
4. 新たなスタート――自分で人生を選びとった妹の成長
その出会いから少しして、妹は新しいことに挑戦したいという気持ちと、将来への不安を解消する意欲を少しずつ芽生えさせ、最終的に高卒認定を取得し、進学という道を自ら選び取りました。以前は自分の感情や状況に閉じこもりがちだった妹が、少しずつ自分の人生を切り開こうと動き始めたのです。
いま振り返ると、適度な距離を保ちながら寄り添い、直接アドバイスするのではなく「妹が好きなこと」や「楽しめること」を中心に、彼女の感情に寄り添うサポートできた事、「わかるよ、つらいよね!」と過度な共鳴をしなかったこと、「こうした方が良い」という答え提示しなかったのが良かったのだと思います。そして、彼女が自分で考え、行動する力をつけられるよう見守り、応援することで、いつのまにか妹は前に進んでいたのだと感じます。
おわりに:妹の成長とともに私も学んだこと
私自身、妹とのやり取りを通して、改めて「人に寄り添うこと」「サポートの方法」について学びました。無理に指導するのではなく、相手のペースを尊重し、相手が自分で気づけるようサポートすることの大切さを知ったのです。自己認識や自己受容をゆっくり促すことで、妹は自分で成長し、変化していきました。
そしていくつか気づいた事があります。
・関係が近すぎると出来ない役割がある
・感情は肯定するが、評価はしない
・他人だから受け入れられる事もある
・親子だからむしろ話せないことがある
・物理的な距離が心理的安全に繋がる関係がある
という事です。
必要な役割と必要な距離を保ってサポートすることの大切さを学ぶことになりました。
自己認識や自己受容は、自分の中で葛藤があったり、他者からの影響を強く受けたりしているときほど、難しいものです。しかし、サポートが適切であると、人は勝手に成長しようとするものだと、妹の成長を通じて実感しました。