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社員が会社を辞める3つの理由

[要旨]

変圧器メーカーのNISSYOは、高い技術力が競争力を高めていますが、その技術力を高めるために、従業員に対して、離職しないような対策を講じるなど、従業員への大きな配慮を実践しています。このように、競争力を高めるには、技術や戦略だけでは、実現しないと考えられます。


[本文]

前回、NISSYOの社長の、久保寛一さんのご著書、「ありえない!町工場」を読んで、同社の優れた改善策について、私の分析を書きました。今回は、同書の中で、印象に残った言葉を紹介します。「社員が会社を辞める理由は、大きく『3つ』に大別できます。(1)『仕事』が嫌で辞める:『仕事』が嫌になるのは、本人の特性に合った仕事に就いていないからです。人事異動を行うなどして、仕事の内容を変えると、離職を防ぐことができます。

(2)『上司』が嫌で辞める:『上司』が嫌いになるのは、コミュニケーション不全が原因です。面談やイベント、飲み会を定例化するなど、社内の風通しを良くするしくみが必要です。(3)『会社』が嫌で辞める:『会社』が嫌になるのは、会社の方針を教えていないからです。『会社のルールを知らない(知らされていない)』と不満を募らせ、離職率が高くなります。経営計画書の方針に基づいた価値観教育を実施して、会社のルールを周知することが重要です」

私は、この久保さんの考え方に、大筋、共感しますが、だからといって、100%正しいと主張したり、その根拠を示したりすることはできません。むしろ、「こんなに従業員に歩み寄る必要があるのか?」と、疑問を感じる経営者の方もいるかもしれません。その一方で、会社の競争力を高めるため、従業員に難易度の高い技術力を習得させようとするからには、会社も、それだけ従業員に報いる必要があると思います。

むしろ、競争力を高めることができないでいる会社は、経営者の方が、技術や戦略ばかりに注目し、従業員の育成方法をおろそかにしたり、または、育成するスキルが高くなかったりするからではないかと、私は考えています。その点、NISSYOの技術力の高さは、従業員の育成に注力していたり、そのスキルの高さが、その裏付けになっているのだと感じました。

2021/11/10 No.1792

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