【ヤン・フォス】リトグラフなど版画各種査定鑑定買取致します

井浦歳和　ロイドワークスギャラリー roidworksgallery 絵画鑑定•査定

2024年12月20日 15:41

◎ヤン・フォスの芸術

ヤン・フォス（Jan Voss、1936年生まれ）は、ドイツ・ハンブルク出身の画家であり、1960年以降はパリを拠点に活動しています。彼の作品は、抽象と具象の境界を探求し、独自の表現を追求することで知られています。

1955年から1960年までミュンヘン美術大学で学び、その後パリに移住して画家としてのキャリアを開始しました。1963年にはマインツで初の個展を開催し、以降、パリ、コペンハーゲン、ニューヨークなど世界各地で個展を開催しています。また、1966年から1967年までハンブルク美術大学で絵画の講師を務めました。

彼の作品は、走り書きのようなもつれた線の中に絵文字風のイメージが浮かび上がる独特の作風が特徴です。この手法により、抽象でも具象でもない独自の表現を追求しています。例えば、1962年の作品「西のはて」では、散歩する人や馬に乗る人、ロデオの光景などが奥行きのない平面に稚拙な線で描かれ、人々の会話も書き留められています。これは、彼が周囲の出来事とのコミュニケーションを通じて世界を把握しようとする意志の表れとされています。

フォスは、1963年のパリ青年ビエンナーレ展、1964年のパリ市立近代美術館での「日常の神話」展、1968年のカッセルでの「ドクメンタ4」など、数々の国際展に参加しています。また、1972年には東京国立近代美術館で開催された「ドイツ現代美術展」に出品し、来日しています。1978年にはパリ市立近代美術館で回顧展が開催され、その芸術性が高く評価されました。

日本でも彼の作品は紹介されており、1989年には東京の佐谷画廊で「ヤン・フォス展：Jan Voss WORK 1986–89」が開催されました。また、徳島県立近代美術館や富山県美術館、愛知県美術館などに彼の作品が所蔵されています。例えば、富山県美術館には1985年制作の「2個の命」という作品が所蔵されています。

フォスの作品は、抽象表現主義の影響を受けつつも、独自の視点で世界を捉え、絵画の中に物語性や詩的な要素を織り交ぜています。そのため、観る者に多様な解釈の余地を与え、深い感動を呼び起こします。

https://fr.wikipedia.org/wiki/Jan_Voss#/media/Fichier:Voss_jan.png

➡️井浦歳和・絵画、美術品取引の専門家