夢追う者 1/? 1568字 物語#9
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今日はおじいちゃんの葬式。
おじいちゃんは急死だったので家族はまだ"それ" を受け入れきれていない。
トン、トトン、トン
スティックでドラム練習パッドを叩く音。
葬儀場の待合室では軽快なリズムが響く。
誰が見ても今の状況に合わないと分かる。
「おい…おい!おにぃ!今日ぐらいはやめろよ」
弟が言った。
「…ん?あぁすまん。暇だったからつい練習
しちゃって…」
と兄はヘラヘラ笑う。
「すぐ片付ける。」
練習パッドを片付けた後の畳はスタンドの脚の跡がくっきりと付いていた。