
2023年4~6月ベストアルバム25選
こんにちは、Kunです。
遅れましたが、4~6月ベストアルバムを選んでそれぞれ紹介文、コメント付けました、月ごと7~10枚ほど選んでおります。リンクもつけてるので気になったらぜひ聴いてみてください。
それではどうぞ
4月
Laff & Wow『Laff & Wow』〈Beatbude〉

楽器の即興演奏を自動音声認識システムに読み込ませて、無理矢理機械音声で歌わせてるアンビエントアルバム。
演奏と機械音声の掛け合いがどこか間抜けで笑えます。今年で一番面白いアルバム。
Dijit『The Room』〈YOUTH〉

エジプト・カイロのプロデューサーによる4枚目。
自宅で10年間かけて作成された今作は、オブスキュアな音像のアンビエント、トライバルなビートのレイブトラックまで色々入ってますが、どこか放り投げてるような隙があって聴いてて落ち着きますね。
この人の高音はとにかく綺麗
Donna Candy『Blooming』〈Kraak〉

フランスの3人組のデビューアルバム。
ボーカル、ベース、ドラムという編成からは想像つかないようなヘビーな音像。とんでもなくファズのかかったボーカルはギターのそれを超越し、BorisやLightning Bolt並のエネルギーを感じさせます。
Kara Jackson『Why Does the Earth Give Us People Love?』〈September Recordings〉

イリノイ州オークパークのシンガーソングライターのデビューアルバム。
ギター弾き語りのじっとりとしたブルースかと思いきや次の瞬間ストリングスが重なり味わい深い重厚なサウンドに変わっていく。
アコースティックギターという穴の空いた箱の空間が、次の瞬間宇宙まで広がっていく。いや瞬間というよりじっくりと広がっていく、そのじんわり空間が広がっていくその時間が他のアーティストには無いものだなと思いました。傑作です。
さっき気づきましたがKAINA, Nnamdï, Sen Morimotoがプロデュースやらで参加してるんですね。なるほど
HMLTD『The Worm』〈Lucky Number〉

説明不可能、HMLTD意地の傑作。サウスロンドンで一番ヤバいのはこいつらだった。
Melati ESP『hipernatural』〈PLANCHA〉

Asa Toneのメンバーでもあるインドネシア出身NY拠点のアーティストのデビューアルバム。
日本のアンビエントやインドネシアのガムランから影響の受けたムシっとしたサウンドのダンスミュージック〜エクスペリメンタルポップ。
他にも〈Moving Shadow〉のようなリキッドドラムンも入っててかなり良い。その後〈Moving Shadow〉がサブスク解禁されててなんとなく運命感じちゃいました。
Avalon Emerson『& The Charm』〈Another Dove〉

サンフランシスコ出身の人気DJがバンド編成でインディーポップに傾倒した1枚。
ポップなメロディーと暖かなギターやストリングスに包まれる春にピッタリなサウンド。
"A Dam Will Always Divide"はダンスミュージック×シューゲイズの完成形。
レコード欲しくて渋谷や下北中を歩き回って見つからず、次の日にBIGLOVEに行ったら何枚も置いたあったのは良い思い出。
Nondi_『Flood City Trax』〈Planet Mu〉

注目ダンスレーベル〈Planet Mu〉からペンシルベニア州のプロデューサーのデビューアルバム。
ノスタルジーというより歴史の教科書の19世紀の人々を捉えた白黒写真を見た時のような感情に陥るfootwork。
アンビエント、シューゲイズ、Vaporwaveでもないオリジナルな音像。
Nondi_の住んでるジョンズタウンはFlood City(洪水の街)と呼ばれていて、過去2度大きな洪水被害に見舞われており、それにより人口が減り続けてるそう。
古い書籍や写真のようなザラザラとしたサウンドから自身の住んでる街の歴史に目を向けて、当時の人々を思いながら作られたのだろうなと良くわかります。
水にフォーカスした音楽作品は色々ありますが、水の"恐ろしさ"を真っ直ぐ描いているのはこの作品だけだと思います。
Cruyff『lovefullstudentnerdthings』〈POWERPUFF RECORDS〉

地方と都会、押し付けられる流行、どれかはわからないけど明らかに周りとの摩擦に苦しんで悲鳴をあげている。その悲鳴をマイクで拾ってファズをかけてアンプに繋いでいる。
5月
Vuma Levin『The Past Is Unpredictable, Only the Future Is Certain』〈Dox Records〉

南アフリカのギタリストVuma Levinがアムステルダムの菅楽団AM.OKと共に制作した一枚。
南アやアムステルダムだけでなく、スペインやカリブ海から様々なプレーヤーを迎えたジャズ。
ギターや管楽器の掛け合いからは、異文化のお互いを理解する会話のような間合いが感じられます。その後に緩やかに融合していく素晴らしいジャズアルバムです。
Angel Abaya『The Bubble』〈Earth Libraries〉

ロサンゼルスSSWのデビュー作。
曲、歌唱、演奏、サウンドどれを取っても絶品なインディーロック。特にシンセの音と入れ方が絶妙で最高。
ドリーミーに響かせる曲から、テンポアゲアゲで踊れる曲まで!
インディーファン必聴!
〈Earth Libraries〉というレーベル、こだわりを感じるインディーポップを多くリリースしていてオススメです。
Nakibembe Embaire Group『Nakibembe Embaire Group』〈Nyege Nyege Tapes〉

ウガンダはブソガ王国の小さな村ナキベンベのグループの1枚目。
巨大な木琴のような楽器、エンベールを複数にで演奏することによって生まれるポリリズムの応酬。
現在エンベールを演奏できるグループは数少ない。テクノとの融合も上手くいっている、貴重な録音になるであろう重要作。
maya ongaku『Approach to Anima』〈Guru Guru Brain〉

江ノ島発3人組のデビューアルバム。
江ノ島という土地柄からなのか水に対する表現が上手い。海、川、雨、水を見つめているというより、自分も水循環の一部であることを意識させられます。
オリジナル楽器の制作などストイックな音の探究者達ですが、シリアスすぎず、遊ぶ余地を残してる感じでとても居心地良いです。
今年随一のアンビエントサイケ。
bar italia『Tracey Denim』〈Matador Records〉

ロンドンを拠点とする3人組の3枚目のアルバム。
写真もライブ映像も見たことあるし、知ってるレーベルから出てるし、他のプロジェクトも聴いてる。なのになんでこんなに分からないのだろう。そしてなんでこんなに聴いてしまうのだろう。
あぁ・・・
さほど良くないんだよなぁ
Symposium Musicum『Symposium Musicum』〈mappa〉

2019年、スロバキア東部・北東部のロマニ族の住む村で録音されたアルバム。
熱心に計画されたフィールドワークのフィールドレコーディング、インタビュー音源とポストプロダクションから生まれるドキュメンタリーのようなサウンド。
子ども達の遊ぶ声や村の生活音などの穏やかな静寂を切り裂くようなノイズ、サブベースは衝撃的。
音の衝撃だけでいうとこれを超えるアルバムはありません。OPN新作の前にぜひ。
cero『 e o』〈KAKUBARHYTHM〉

ここまでバンド自身を客観視できたバンドは居なかった。そしてその視点を世界に向けたバンドはもっと居なかった。
6月
Home Is Where『The Whaler』〈Wax Bodega〉

フロリダの4人組2ndフルアルバム
日々の苦しみに対して鈍感になっていくことをテーマとしたコンセプトアルバム。交互にハイな曲とローな曲が置かれており、気持ちの不安定さをリアルに表している。
エモというジャンルに囚われず、人々の悲しみに寄り添った多くの人に届いてほしい傑作。
The Otals『U MUST BELIEVE IN GIRLFRIEND』〈Blue Moon Garage〉

従兄妹2人によるシューゲイザーデュオの1枚目。
For Tracy Hydeの居ない初めての夏、そんな中現れたカートゥーン調の2人組。
キラキラシューゲイズサウンドにキュンとするメロディー。男女混声、時にはラップも?!
どこまでもポップで自由な一枚。
Normal Nada the Krakmaxter『Tribal Progressive Heavy Metal』〈Nyege Nyege Tapes〉

ポルトガルはリスボンのアーティストの1枚目。
多次元焦燥音楽。全身の筋肉が増幅し、アフロビートを刻み始める。
アフリカやポルトガルの音楽への深い知識をベースに、トラップやメタルを重ね合わせてエキセントリックなダンスミュージック。
タイトルやジャケットのイメージ通り、パワフルでカオティックなサウンドが広がっています。
Speakers Corner Quartet 『Further Out Than The Edge』〈OTIH Records〉

サウスロンドンを拠点とする4人組コレクティブのデビューアルバム。
ジャズ、トリップポップ、スポークンワーズ、ソウルなど様々なジャンルを通過した聴き心地の良いサウンド。
TirzahやSampha、Kae Tempest、Shabakaなど様々な客演。ロンドンの現状が良くわかる一枚です。
King Krule『Space Heavy』〈XL Records〉

ロンドンのSSW待望の4枚目。
群衆、社会の中での孤独というより、自分以外誰もいない街のような寂しさ。
ロックやジャズというより、良いコーラスかかったギターそしてサックスなどの楽器がただ鳴っているよう。
Carmen Villain『Music from The Living Monument』〈Smalltown Supersound〉

ノルウェーのアーティスト。コレオグラファーEszter Salamonの公演のために制作された
音楽を収録した一枚。
静物、緩慢さ、身体の存在というテーマに合わせたスローなアンビエント
時の流れを遅くする、そういう実感をもって制作しているように感じる。今年随一のアンビエント作品です。
それにしても最近の〈Smalltown Supersound〉外さないですね
うすらび『Outside of the world』〈An'archives〉

東京の3人組バンドの2ndアルバム。
バンド、音楽をやっているという世間との摩擦や後ろめたさ、音楽という役に立たない故の美しさを物悲しいメロディー60sガレージロックで紡ぐ。
アシッドフォークやノイズに振れるアレンジも心象の揺らめきやざらつきを表現しているような気がしてリアルですね。
aja monet『when the poems do what they do』〈drink sum wtr〉

ニューヨークで活躍する詩人の1枚目。
ジャズ、ヒップホップ、ソウル、民族音楽など様々なジャンルを取り込みつつ、黒人の抵抗、愛、喜びを探究するスポークンワーズ大名盤。
共同プロデュースにグラミーノミネートのトランペッターChief Adjuahを迎え、演奏も素晴らしく、スピリチュアルジャズとしても傑作。1時間半と長いですが、納得のパワーを感じます。
Samuele Strufaldi, Tommaso Rosati & Francesco Gherardi『t』〈Elli Records〉

ピアノ、タブラ、ライブエレクトロニクスそしてピアノの中に仕込まれたロボットとの即興セッション。
タブラ、ピアノ、ライブエレクトロニクスそしてロボットという人間の過去、現在、未来を辿るような楽器構成から繰り広げられる、ジャズ、ミニマリズム、ダンスミュージックどれでもない未知のグルーヴ。
何世紀、何年、何ヶ月、何週間、何日、何時間、何分、何秒か分からないけど確実に未来のリズムが刻まれている。
最後に
最近はTwitterやRYMなどから離れて、流行で無く好きなレーベルからのメールや、好きなレコードショップの入荷情報のみで新譜を聴いています。
ジャンルに縛られず、自分の好きな音楽ってなんだろうかという探究の期間にある気がします。そういった姿勢かリスニングにも反映されて、ジャンルじゃなくオリジナルな表現をしてるアルバムをよく聴いた気がしますね。
また別で上半期ベストアルバム10枚のnoteを書こうと思ってるので良ければ読んでください。アルバムの感想を長めに書く予定で、9月中目標にしてます。
前回の1〜3月ベストアルバム25枚のnote読んでない方はそちらも合わせてチェックしてください。
なんとか年内100枚紹介する目標に向かって頑張ってます。それではまた7〜9月ベストアルバム25枚のnoteでお会いしましょう。読んでくださりありがとうございました!バイバイ!
lovefullstudentnerdthings/Cruyff
Flood City Trax/Nondi_
& The Charm/Avalon Emerson
hipernatural/Melati ESP
The Worm/HMLTD
Why Does the Earth Give Us People to Love?/Kara Jackson
Blooming/Donna Candy
The Room/Dijit
Laff & Wow/Laff & Wow
e o/cero
Symposium Musicum/Symposium Musicum
Tracey Denim/bar italia
Approach to Anima/maya ongaku
Nakibembe Embaire Group/Nakibembe Embaire Group
The Bubble/Angel Abaya
The Past Is Unpredictable, Only the Future Is Certain/Vuma Levin
t/Samuele Strufaldi, Tommaso Rosati & Francesco Gherardi
when the poems do what they do/aja monet
Outside of the world/Usurabi
Music from The Living Monument/Carmen Villain
Space Heavy/King Krule
Further Out Than The Edge/Speakers Corner Quartet
Tribal Progressive Heavy Metal/Normal Nada the Krakmaxter
U MUST BELIEVE IN GIRLFRIEND/The Otals
The Whaler/Home Is Where
