【短歌】夏の放課後
やわらかなファーストタッチ君が抜き去るドリブルのあとにため息
5時限に折れた2Bが問いかける愛と自由と存在の意味
国道を見下ろし過ぎる19時に輝き出したMの電飾
憧れかただの仮定かいくたびも IF構文に現れる君
傷つけば目覚めもできる詩の夜を称えて生きる君の強がり
組曲の終わりにみえた空白に飛び入る猫の長いお昼寝
麦藁の帽子をさらい逃げて行くそこに見えたとするものが風
壮大な助走にみせた道筋の向こうもきっと何もない道
一呼吸すれば終わりの夏を吸い動きを止めた猫の大口
よみがえるあなたの台詞おやすみを絶ってはかえる酷い物言い
幸福な仮定の広がりをもって幸福とかえさせていただく
結びまでたどり着けない詩を持って君が眠りについたのは4時
人気ない灯りの消えたバス停に願いを込めた星の不時着
こっそりとため込んだ寂しさはある時にあなたをそよ風にする
消えていく約束事の上に立つ僕らは脆いアプリケーション
忘れ得ぬ恋人たちを引き連れて夏空を行くタグ流星群
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