少し困った顔をしていると優しい人が寄ってくる。
「どうしたの?」
「……」答えがあるなら苦労しないだろう。
頭を抱え込んでいると親切な人が近づいてくる。
「いい薬があるよ」
「大丈夫?」
「いい本があるよ」
ああ。どうしてみんな優しいの!
(僕はもう少し独りでいたいのさ)
「駒犬の間へ、どうぞ」
「えっ?」
「思う存分考えて。誰も責めないから」
立会人に導かれるままに僕は襖を開けた。
向こうの座布団にも人がいる。
「あれは?」
「四枚堂八段だよ」
「僕独りじゃないの?」
「大丈夫。盤の向こうの人は何も干渉しないから」
#孤独 #創作 #思索 #将棋
#ショートショート #詩
#小説 #将棋世界 #多様性