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争い続けるという業~「ゼロ・ダーク・サーティ」
今回もザ・アメリカ的な映画である。
9.11はもはや20年以上昔のこととなったが、いまだにアメリカのトラウマになっている。それをどうやって克服していくか。それを国民全員で振り返り胸に刻んでいくための映画のようだ。2012年公開の「ゼロ・ダーク・サーティ」。
今日日珍しい?アメリカ万歳的な映画。自国民向けだけというなら分からなくはないが、これを全世界に向けて打ち出していく姿勢は、中国以上に中華的ですらある。
こういうのを観ると、それこそザ・アメリカ的なイーストウッドはいかに自己反省的だったか、屈折していたか、ということが浮き彫りになるように思える。
映画としては、2時間半を超える作品でありながら章立てで区切りながら進行していくこともあってか、さほど長く感じることもなく、うまくまとめられているのではないだろうか。ただ、しょっぱなが拷問シーンだったので、えらいものを見始めてしまったとは思ったが。
西部劇もそうだけど、つくづくアメリカというのは誰かと争っていかねば気が済まない国なのだと思う。社会はいつまでも銃を手放すことはないのだろう。
そんなことを感じずにおれない作品であった。