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孤独という病理~「真夜中のカーボーイ」
カーボーイって、carboy?
いえいえ、やっぱりcowboyなんですよ。
はい。1969年公開「真夜中のカーボーイ」
映画を観るのが好きになってくるとその名を必ず耳にするようになる名作に突き当たる。そのうちの一つがこの「真夜中のカーボーイ」である。実はこの作品、動画配信されていないので、DVDレンタルをしないと視聴できず、ちょいとハードルが高い作品でもあるのだ。
今回年末年始のタイミングに、他のいくつかの作品と一緒にレンタルをしてみたのだ。
まあなかなか救いのない話である。
主人公二人が貧しさに苦しむエピソードがいくつか続くのだが、それよりも彼らを真に苦しめているのは孤独なのではなかろうか。
最近世界中で孤独という病理に注目が集まっている。日本では「おひとりさま」といってさほど重大視されていないようだけれども、クリスマスやイースターなどのイベントではつねに家族や友人たちと過ごす習慣のあるアメリカにおいて、孤独とは生き地獄のようなものなのだろう。
古き良きアメリカの象徴、力強くマッチョなカウボーイの出で立ちであるものの、それで彼が目指すのが男娼というのは、今どきの言葉で言えば”斜め上をいく”発想だと思う。
最後フロリダにつく頃にはそのカウボーイの衣装を脱ぎ捨てることになるのだが、それは解脱ともいうべき救いなのか、それとも振り出しに戻っただけなのか。
それにしても、この頃のダスティン・ホフマンて、アル・パチーノにかぶるように思えて仕方がない。と思うと、同じころの作品でこちらも本作と似ているなあなんて思えてきて。そういう時代だったんだな。