”高倉健”以前の高倉健も魅力的だった~「天下の快男児 万年太郎」
さて、日本映画史上で外せない俳優は何人かいるけれども、現代においてもまだ高い知名度を誇るのは高倉健だろう。
「不器用ですから・・・」って、具体的には何の映画のセリフだろう。
でも、そんな健さんも器用に立ち回るサラリーマンを演じていたシリーズがあったという。そう、植木等のように(しかも彼よりも早く)。1960年公開「天下の快男児 万年太郎」
youtubeで検索したが予告編の動画は見つからず。。
まず驚かされるのが、健さんのキャラクター。よく喋るし動くし、表情が豊か。女性にもモテるし、なんだかんだと仕事もできる。ケンカが強いのは後世のイメージに近いかも。
「高倉健」になる前の高倉健といったところだろうか。清潔感と素朴さと男らしさを兼ね備えている。この路線、好きだなぁ。
映画も、テンポよく楽しめる。一人ひとりの心情を深掘りするなんてことはなく、コロコロと気持ちが飛び回る。まさに意馬心猿の如く。なんだか社会全体が元気で若さに満ち溢れているようで、観ている方も心がほころんでくる。
男性とは、女性とは、という言い方が憚られる現代からするともはや作成不能の内容だとは思うけど、女優陣のコケティッシュさも魅力の一つ。ちなみに参議院議長を務めた山東昭子がヒロイン。
「男はつらいよ」ほどウェットでもなく、でもほのかに現代にも通じるユーモアもあって、十分楽しめる快作である。