夫婦の再生と崩壊の話~「ゲッタウェイ」
ペキンパー監督作品としては珍しい部類の現代劇。
スティーブ・マックイーン主演、1972年公開の「ゲッタウェイ」
スティーブ・マックイーンと言えば、「大脱走」。この人は逃げるというのでもサマになる。
ジョン・ウェインもタフな男性像を体現しているけれども、スティーブ・マックイーンはまた別のタフさを醸し出しているようだ。
男女ペア、銀行強盗、逃走、というと「俺たちに明日はない」に似た印象を受けるけれども、本作の方が救いがあるというか前向きな感じがする。
「逃走」という表題ではあるけれど、この主題は転落ではなく夫婦の再生の物語なのだからだろう。
エンディングもなんと爽やかなことだろう。
当時流行していたアメリカン・ニュー・シネマの不条理さではなく、古き良き時代の牧歌的な終わり方。最後だけは。
しかし同じ夫婦と言っても、途中強盗グループの一人に襲われる獣医の夫婦の方は、観ていてなんと痛ましいことか。
質実な獣医の夫とかねてから遊び足りなく感じていた奔放な妻。結局妻は強盗の男を選び、夫は自死してしまう。
結局この強盗も殺されてしまうのだが、独り残された奔放妻はこの後どうなってしまうのだろうか。
見た目、「バッファロー’66」の女の子とに似ているので、もう少しキーマンになるかと思いきや、待っていたのは寂しい最後であった。
件のバッファロー’66の女の子はこちら。まあ、準主役なのでいい人物設定を与えられているのは当然、かな。
最後に、おなじみの町山氏による解説も紹介しておく。
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