マッチョではないヘミングウェイ~「移動祝祭日」
先日noteにも書いた「ミッドナイト・イン・パリ」を見て興味を持ったのがヘミングウェイ。
彼はそもそもアメリカ人作家で、もっとマッチョなイメージがあったのだが。。そう思って調べてみたところ、まさにこの時期のことを後年綴っていた文章があるという。それが「移動祝祭日」という、彼の死後出版された随筆集だ。
一つ一つの章がコンパクトで読みやすい。そして何より1920年代のパリの空気で満ち満ちている。記述そのものはとても簡潔でわかりやすい。無駄がないからこそ、その情景がストレートに入ってくるのだろうか。
ヘミングウェイは「武器よさらば」とか「誰が為に鐘は鳴る」とか、長編小説家のイメージを強く持っていたのだが、こうしてみると短編の方がより良さが際立っているようにも感じた。
読者としては、なんとなく長編の方が短編より優れている傑作であると思いがちなのだが、中短編の作品にももっと親しんでみようと思わせてくれた作品であった。