ゲンキ爆発!でも邦画は袋小路か~「河内のオッサンの唄」
「河内のオッサンの唄」を知っているだろうか。
ミス花子という男性シンガーの曲である。1976年発表ということで、時代を映す知る人ぞ知る曲で、一度聴いたら忘れられない。
この映像はおじさんだが、発表当時は20代前半だったようだ。
ミス花子という名前にしたは、女性アイドルに間違われてレコードを買ってくれるかもしれない、という動機だったようなことを聞いたことがあるが、曲名が「河内のオッサンの唄」じゃあねぇ。
それで、この曲は歌だけにとどまらず、なんと同名の映画まで作られている。しかも2本。
自分は、1作目だけでおなかいっぱいになってしまったが。
当時の日本人はこういう作品を観て楽しんでいたのかと、感性の今との違いに感心してしまう。なお、同年の映画には「ロッキー」「タクシードライバー」や「犬神家の一族」がある。うーん、どれも暗い。
でも、この直情径行さが日本を引っ張ってきたとも言えるのかもしれない。今は良く言えばもっとスマート、悪く言えば打算的である。昔は今とは善し悪しの線引きが違ってはいるものの、明瞭ではあったように思う。だから分かりやすく、エネルギッシュに感じるのだろう。最後のシーン、パトカーの中で大笑いして終わるのも清々しささえ覚える。
しかし1970年代の邦画というのは、小津が亡くなり、黒澤映画も低迷している中、袋小路に陥っている時期のようだ。いくつかの実験的な作品はあるのだが、それがなかなか大きな実を結べずにいる。それが70年代後半からの角川映画やアイドル映画の路線へとシフトしていくということなのかもしれない。