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アメリカ国民は必見~「大いなる西部」

西部劇というと、なんだかドンパチしているイメージが強い。日本で言う時代劇にはチャンバラがつきもののように。
しかし、そういう王道の展開からいかに外したものを作るかと、案外以前から工夫をしていたようで、今回の作品もそういったものに分類されるものと思う。1958年公開「大いなる西部」である。

主演は、グレゴリー・ペック。これだけで、スマートな印象がする。
彼が演じるジムは、小さなことにこだわらない。挑発にも乗らず、拳銃どころか暴力すら振るわない。まさに、ビッグな男なのである。

このグレゴリー・ペックは、この後に「アラバマ物語」で公明正大な弁護士を演じているのだが、自分としてはこの二つの役がダブって見える。
西部あるいは南部にあって、異質な存在。いや、異質というより超越した存在というべきか。
銃や人種差別というアメリカの原罪たる問題に対する、こうありたいという願望であり、残念ながら手の届くことのない光景。
そう思うと、この2作はアメリカ国民必見の作品なのではないかと思う。

それにしても、このグレゴリー・ペックのような俳優、現在だと誰になるだろう。

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