SSを書いてみた/散歩をする電球
先日、札幌市の広報Twitter(現X)を見ていたら
「【教育委員会】短くて不思議な小説「ショートショート」作家・田丸雅智さんによる「誰でも物語が書ける!ショートショートの書き方講座」の動画を公開中(2/29まで)! 執筆活動等についての講演と、短縮版「ショートショートの書き方講座」を実施しました。ぜひご覧ください。」
というものが目に入った。
「11月23日「文字・活字文化の日記念講演会」を開催します」
に「誰でも物語が書ける!ショートショートの書き方講座」の録画が公開されていたので、試しに書いてみた。
詳しくはリンク先の動画を見てほしい。不思議な言葉(ちぐはぐな言葉)を作って、そこから連想することを書くというワークシートで、楽しく空白を埋めていたらなんだか自分でもショートショートが書ける気がしてしまった。講義中の田丸先生の「文字数の多いと偉くみてるけどそうじゃないよ」を信じて。自分が楽しいな、と思える範囲でチャレンジ!しました!
散歩をする電球
久しぶりに見た、と思わず足を止めてしまった。電球が散歩をしている。ここ数年で見れるようになった光景で、日中、暇な電球が散歩をしていることがある。光る必要がない時間帯なら散歩をしていてもいいだろうと、どこかの電球が気づいたらしい。いつの間にか電球がくるくるとその辺を散歩をするようになっていた。
犬の散歩と異なるのは電球が一人(一個、なのか)で散歩をすることだ。家と外を行き来する猫に近いかもしれない。うちの電球はまだ目覚めていないので、散歩をしない電球である。散歩をする電球は勝手にソケットから外れるのだが、ドアは開けられないので家の人に外に出してもらっていたり、それこそ猫用のドアで行き来していると聞く。
私は日中はオフィスに籠もっているので、なかなかお目にかかれない光景だ。今日は仕事を休んで、銀行での用事を済ませた帰りである。
くるくる、くるんくるんと器用にまわって歩道を行く電球。電球なのでそんなに遠くへは行けないはずで、きっとこのあたりの家のなのだろう。玄関か、台所か、照らしているのはどこだろうか。電球に散歩が必要な理由はわかっていないが、散歩をする電球はよく光るとか長持ちしやすいとか、そんな噂がある。
電球も気分転換が必要なのだろうか、このまま暗くなっても帰らないこともあるのだろうかとぼんやりと眺める。そういえば、と、自分のことを考える。用事を済ませるために仕事を休むことはあったが、特に用事もなく、何もすることはないけどただ休んだことはあっただろうか。
電球は光る必要がないから外に出ているので、自分が仕事を休む話とはちょっと違う。でも、光っていない時間というのはつまり仕事をしていない時間で、それは私生活の時間で、休暇と言えるのかもしれない。
自分は、休日も休暇も家事だの用事だの済ませる作業ばかりだ。もしかしたら電球も用事があって外をまわっているのかもしれないけど。ぐるぐる考えてたら思考がこんがらがってきた。私は実は休みの過ごし方を考えたかったのだろうか。
せっかくなので、電球がくるんくるんと角を曲がっていくまで見送った。
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