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Photo by
ys1970
燃えよドラゴン/ラロ・シフリン Enter The Dragon / Lalo Schifrin
小学校3年生の時、初めて家にレコードプレイヤーがやってきた。
赤いプラスチックでできたジャンクなやつだ。
当時はてんとう虫プレイヤーというアナログレコードのプレイヤーがあったのだが、ウチのはもう少しグレードの良いやつでちゃんとスピーカーが二つ横に並んでいるタイプだった。
二つ上の姉が、かぐや姫の「神田川」や吉田拓郎の「赤ちょうちん」、チューリップの「心の旅」なんかの45回転のドーナツ盤を友達から借りてきて聴いていた。
初めてレコードを買ったのは(当然親に買ってもらったのだが)「燃えよドラゴン」のシングル盤だ。当時はどこの家にも手作りのヌンチャクがあって、燃えよドラゴンの映画は男子の必須科目だったのだ。このレコードをかけて、上半身裸に黒の長ズボン(まだ田舎町にはスエットやジャージは登場していなかった)で鏡の前に立ち、熊の爪で切られて出た頬の血を指で触り、舐めるブルース・リーの仕草を何度も繰り返した。
そして鏡の間の決闘だ。
「アチョーッ!」
「アタタターッ!」