♯8 実務と学問で点を線にして面にする
参考サイト:
・新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて(文部科学省 2012)
・アクティブラーニング失敗事例(文部科学省 2014)
・教育工学とアクティブラーニング(山内祐平 2019)
はじめに
マネジメントの育成支援は、成長機会の提供と、その機会を実践していく中で成功体験を作り出すフォローアップと考えています。
ただ、このフォローアップは、メンバの悩み事や困り事に対して、優先順位や組み立て方の交通整理を行ったり、解決方法を一緒に考えたり、すべてが実践あるのみ、のスキル習得となっており、
案の定、社外のセミナーや研修の予算が上手く活用出来ておらず、実践と学問(ここでは、グループワークやハンズオンも含めた、業務外での学びとします)のすみ分けが上手く整理出来ていないと感じていました。
また、最近では、リカレント教育による社会人の学び直しも聞くようになり、学びの自発性や学習の習慣付けについてもあわせて考えてみたいと思いました。
実践で学んだ、点と点を線にする
作家・島崎藤村の言葉に「人の世には三智がある。学んで得る智、人と交 わって得る智、自らの体験によって得る智がそれである。」とあります。
この「学んで得る智」と「自らの体験によって得る智」が、まさに学問と実践になるのですが、
この2つの関係を1本の線の上で捉えると、社外の研修やオンライン・書籍による学習は、実践に入る前の準備となり、学問→実践の流れになってしまいます。
その結果、実践に入ってからの研修の受講や学習について、今ひとつ動機付けが難しいということかと思います。
また、「実務で本当に役に立つのか」や「実務に入った方が早いのでは」と、ついつい後回しにしてしまうということか思います。(ハンズオン系は良い気がしますが)
一方、この2つの関係を1つの面で捉えると、実践で学べるのは、断片的な知識の点であり、学問による体系的な知識から見ると、偏っていたり、欠落していたりするため、それを学問により網羅的に体系立てて理解することで、断片的な知識の点と点がつながり、また、点の理解も深まる(なんとなくやっていたけど、そういう意味だったのかと)ことで、面自体が大きくなるということかと思います。
発信と対話で思考を磨く
続いて、「人と交わって得る智」について考えてみます。
参考サイトの「大学教育の質的転換」では、グローバル化や情報化の進展、少子高齢化等、社会が急激に変化する予測困難な時代に向けて、今後は次の能力が求められると記載されています。
この能力を培うには、これまでの知識の伝達・ 注入を中心とした「講義型の授業」ではなく、
ディスカッションやディベート といった双方向の授業やインターンシップ等の教室外学修プログラム による主体的な学修を促す学士課程教育の質的転換が必要であり、その転換により、生涯学び続け、主体的に考える力を育成するとあります。
つまるところ、知識を発信することで思考を整理し、異なる意見に耳を傾けることで思考を磨く、ということではないかと思います。
また、対話をとおして、学びへの触発や感化を促し、学びの自発性の誘発や学習の習慣付けにつながるということかと理解しました。
まとめ
「人の世には三智がある。①学んで得る智、②人と交 わって得る智、③自らの体験によって得る智がそれである。」(作家・島崎藤村)
この3つの智は、それぞれ新たな知見を得る方法でもあり、次のような関係性と捉えることも出来るのではないかと思います。
実践(③)し、学問による振り返り(①)をとおして、経験にもとづく体系的な知識を獲得する。
その知識を発信と対話(②)により洗練させ、知識をスキル(CAN)にする
これら踏まえ、今後のメンバへのアクションプランについては、次の3点に取り組んでいきたいと思いました。
知識の点と点をつなぐために、研修や学習をすすめる
知識をスキルにするために、積極的に発信・対話機会として異なるコミュニティに参加させる
学習の習慣付けのために、外気に触れさせる(触発・感化の促進)
ここまで書いてみて、普通のアクション(How)と気づいたのですが、、
Howに対するWhatが私の中で論理的に整理出来ていなかったということかと思います。
会社や組織が出来ることは育成の支援であって、最終的に学ぶのは本人次第となるため、本人の自発性を促せるためには、論理的な説明と理解が大切と改めて感じました。
学び続けるモチベーションの発火方法については改めて考えてみたいと思います。