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#4-2 場の安心感が、語りを引き出し、体験との紐付けや、本質発見につながる:【教員インタビュー:大野沙絵子先生 #2】

みなさんこんにちは。リフレクションメソッドラボラトリー事務局です。リフレクションメソッドラボラトリー(以下RML)では「MAWARUリフレクション」というプロジェクトを行っています。

MAWARUリフレクションは、「リフレクションによる個人の気づきが周囲に循環し、社会を変える」をテーマに、教育にリフレクションを取り入れる活動を2016年から続けているプロジェクトです。(プロジェクトHPがありますのでぜひご覧ください。)
本記事では、MAWARUリフレクションで新しく始めた「教員インタビュー」の記事をお届けします。教育現場で、先生がどのようなことを考えているのか、とても面白い内容になっていると思いますので、ぜひご一読ください。
第4回の先生は、兵庫県で小学校教諭をされている大野沙絵子さんのインタビューです!いつものようにPodcastも用意していますので、ラジオ代わりにもぜひ聴いてみてくださいね。

どんなリフレクションの実践をされているのか? またそこでの手応えについて

1年生の最後の単元には、自分の成長を見つめる、成長に気付く単元があります。その時に、p4c(こども哲学)の手法(youtubeに移動します)を取り入れることで、今までの学習を振り返りました。例えば、「今まで一年間過ごしてきたけど、どんなことができるようになった?」と聞くと、「逆上がりができるようになった」「ひらがなが書けるようになった」とか、子供たちは思い思いに答えてくれます。
そこで、「どうして、できるようになったんだろう?」と聞くと、「僕たちが頑張ったから」と、最初はそのような発言が出るのですが、そのうち、「6年生が困ったときに声を掛けてくれた」とか、「お母さん、お父さんが、宿題を手伝ってくれたり、教えてくれたりした」「手伝いをしたときに、お母さんがありがとうと声を掛けてくれて、嬉しかったから」と言った、今までお世話になった方々を思い出しながら、振り返りをする姿があります。p4cの手法を使ってリフレクションをしていくことで、周りの人々の支えに気付く様子がありました。
その後、対話を続け、「成長するってどういうこと?」と問いかけると、「背が高くなること」「おじいちゃんになること」「頭がよくなること」と。そこで、一人の子がおじいちゃんになることから、「最後は死んじゃう…」と言ったので、私から、「じゃあ、おじいちゃんになったり、歳をとることは悲しいことかな?」と問いかけると、
「そうじゃない、嬉しいこと、どんどんできることが増えるし、どんどん人にやさしくなれるから」「成長とは、がんばったから、頑張ったあとにあることなんだ」と考えを深めていく姿がありました。
リフレクション、振り返りの時間をゆったりと作ることで、今までの具体的な体験と結びつけながら本質に気付くことができます。
そして、全体から個へ、また、個から全体へと行ったり来たりする感じがこの時間にはあります。

3年生では、長さの学習をした後にp4cとリフレクションを組み合わせた実践を行いました。「長さとは何だろう?」、気になること、疑問に思うこと、不思議に思うことについて、皆で対話を行いました。
「単位がつきます。」「端から端まであります。」「まっすぐ伸ばします。」…
中でも私が面白かったのが、「生活の中に活かせるものです。例えば、ノートを買うときに、長さがわからないとランドセルに入るかどうかがわからなくて困ります。」といった発言がありました。また「人類が考えたもので、算数は、ぼくたちの生活のためにうまれたものだと思います。」という深い発言まで出てきて、「人類ということは、世界のことにも広がるよ。フィートやポンドの単位っていう単位も知ってる!」そこから、単位に気が向いて「私たちが学習したのは、kmまでだけど、km以上の単位はあるのかな?」…
振り返りなんだけれども、次の学習の始まりになるというか、次に向かうパワーがこどもたちの中から次々とうまれてきます。
私が一番心に残ったのは、「長さとか当たり前と思っていた。考えたこともなかったけれど、改めて考えてみると、とても便利なものだと気付いた。」という振り返りでした。
仲間と振り返ることで、考えが広がり、また新たな問いがうまれてくる。いかりのように問いがのこり続けている感覚です。
ずっと一つのことについてじっくりと考えることはとても大事なことだと感じています。

生井:一年生の実践からは、対話を通してことばにしていき、皆との対話からいろんな気付きがうまれていく。そんなことを感じました。
三年生の実践からは、対話を通して、もっと面白いこと、好奇心がうまれ、次の学びにいかされていく。リフレクションが学びの要にあるということを感じました。

リフレクションで大事にされていることは?

山下:リフレクションで大事にされていることは何ですか?

言葉にする、言葉を伝えるということは、自分なりの表現でアウトプットをすることなので、子供たちにとってハードルが高いこと、難しいことでもあると思います。
ですので、いかにその場で、安心して、自分の思いを語れるようにするかにとても気をつかいます。
例えば、ふりかえりをノートに書くときには、子供たちの記述に対して、「この場合はどうかな?」、「もしもこれがなかったらどう?」と問いを書き入れたりしています。
また、全体交流の場面においては、「なるほど!」とか「気持ちわかるよ」と相づちをうちながら、その場が発言しやすい雰囲気を作るようにしています。リフレクションの時間が子供達にとって「受け止めてもらえた」「言ってよかった」と思える心地よい時間になるように支援をしたいと思っています。

山下:安心感をベースに言葉にならないものをつむぎだされているところがあるんだろうなと感じました。

安心感は、大事ですよね。子供達は、対話をする時、それなりに緊張していると思います。だからこそ発言したときには、真摯に受け止め、ちゃんと価値あるものとしてフィードバックできるように支援しています。
これが、仲間でできるととても素敵なことですよね。そのような学び合いができるように心掛けています。

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本記事はここまでです。更新は毎週木曜日です。
第3回目もお楽しみに!

【大野先生インタビューの記事】
# 4 -1 大野先生インタビュー1
# 4 -2 大野先生インタビュー2(本記事)
# 4 -3 大野先生インタビュー3
# 4 -4 大野先生インタビュー4

インタビュアー 生井・山下
執筆:山下

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