DCSモデルにて、ストレス・マネジメントを理解する

ストレスへの対処を理解するのには、DCSモデルが有用です。
あらゆる人々が、知っておくべき概念です。

DCSモデルはDemand-Control-Support modelの略で、ストレス反応の原因・緩和要因をシンプルかつ分かりやすく説明するモデルです。1980年代に米国での労働者のストレスや生産性の研究によって、確立された概念です。

Demand(ディマンド):要求(≒負荷)

仕事や日々の生活で求められる内容の量・質による負荷です。例えば難易度の高い業務を長時間求め得られるのは、ストレスになるのは明らかですよね。
 質と量の2つの側面から評価する事が大切です。
 質の側面では、どのような業務・タスクが負荷になるかは、人それぞれということです。その方の能力・性格・キャリアやステージによっても異なります。例えば、数学が苦手な方に、数学の点数や偏差値を上げろ、というのは高いDemandになります。一方で、数学が好きだったり、得意だったりすると、Demandとしては、低くなりますよね。
 一方で、量の側面では、長時間労働や長時間の通勤をかんがえると、耐久力に差はあれど、基本的に一定時間以上長くなると、高負荷となって、心身の健康をむしばむことは、様々なデータから明らかです。
 したがって、自分だったり、自分が接する方にどれだけの負荷がかかっているのか、質と量の2つの側面から考慮する視点を持っておくことです。

Control(コントロール):裁量権、自分で融通をきかせられる

あなたの、仕事や学校生活、家庭生活について、どの程度、自由に自分の意思でスケジュールや業務量・タスク量をコントロール出来るか、ということが、ストレスを左右します。
 例えば、会社の経営者たちは、仕事の責任も重く、求められるものも多い、経済的リスクも背負っている方は多いでしょう。ですが、仕事の進め方、スケジュール調整など日々の決断については、裁量権が高いです。この場合は、ストレスが緩和される・低くなる方向にはたらきます。
 一方で、上司から、こちらの都合はおかまいなしに期限を決められて、矢継ぎ早に指示を受けて意見も聞いてもらえない、そういう状況にあれば、コントロールは低い状態となり、同じタスクをしていても、ストレスは高まります。
 産後うつのケースでも考えてみましょう。赤ちゃんは母親の体調や都合はお構いなしです。程度にもよりますが、赤ちゃん中心の生活をしすぎると、実はコントロールが低い状態におちいるので、ストレスは高まることになります。
 自分の仕事や家庭生活におけるコントロール度合いを少しでも高めることは、意識したり、工夫すれば、改善出来ることがあるのではないでしょうか。もちろん、周囲との調整も必要です。そのように、周囲と調整して自分を取り巻く環境をコントロールする度合いを上げる、そういうスキルをみがいていけば、ストレスは和らぐことになります。

これまでを図にして解説しましょう。

画像2

縦軸をコントロール、横軸を負担とします。
グラフの赤がストレスが高いエリア、色が薄いエリアがストレスが小さいエリアです。
コントロールが高ければ、ストレスは小さくなります(上部の色が薄いエリアに移動します)。
負担が大きければ、ストレスが高くなります(右側の色が濃いエリアに移動します)。
また、負担・負荷を質と量の両面がみておくと、自分の状態が把握しやすいですね。
この図を思い描きながら、自分の日々の過ごし方を見直していくのは、ストレス・マネジメントにおける有効な方法になります。

Support(サポート)

これは、わかりやすいですよね。自分を取りまくメンバーからのサポートはストレスを和らげるおおきな支えとなります。このメンバーを、職場の上司、同僚、家族、などと分類していくと、さらに自分がサポートのリソース(資源)が分析できると思います。意識的にサポートが薄い所を強化して、サポートを引き出すことが大切です。もちろん、私の家族はサポートしてくれない、というケースはあります。そこも、サポートは、本来相互的(両方向)のものなので、きちんと、コミュニケーションを重ねる事が大切です。

ただ、近しい人は必ずしも、サポーターにならないことは稀ではありません。
 その理由として、1つ目に、身近な人に対して、自分のイメージ(セルフイメージ)を崩したくないため、自分のネガティブな側面を見せられない、見せたくない、という心理的ハードルがあげられます。結果的にサポートを求められず、ストレスを抱えたまま、コンディションを落とす事になります。
 2つ目には身近な人なので許せない、というケースがあります。例えば、親が子供の勉強やスポーツを教える時に、「なぜ、この程度が出来ないのか」と怒ってしまう、ということは稀ではないでしょう。他人の子供であれば、感情をコントロールして、教える事が出来ます、自分の子供となると難しいです。このようなケースは、介護でもあります。また、モラルに反した行為に対しては、なおさら、モラルに基づいた怒りや嫌悪感が出て、サポートできない、してもらえない、というようになります。

したがって、サポートを自分を取り巻くメンバー以外に求める事が大切になるわけです。

訓練されたプロフェッショナル・カウンセラーは、あなたに対して、モラルに基づいた決めつけ(モラル・ジャッジメント)をしません。あくまで、あなたのサポートをするためにカウンセリングを行うので、カウンセラーのモラルは棚上げにして対応することが、原則です。

適切なカウンセラーは、DCSモデルに基づいて、あなたの状況を一緒に分析し、アドバイスをしたり、良きサポーターになってくれるでしょう。

私が運営するマイシェルパに所属するカウンセラーも、あたなのストレスをともに振り返り支えてくれる、良きパートナーとなるはずです。


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