メンタルヘルス不調・疾患名の分かりにくさ、について①

精神医学的診断を難解にしている要因の一つに、1人の方が複数のメンタルヘルス不調・疾患を有している事が稀ではないということが、挙げられます。

精神疾患(メンタルヘルス疾患/不調)の有病率は、生涯有病率と調査したその年度の有病率(直近1年の有病率)で研究されていますが、生涯有病率の調査研究はかなり困難です。したがって、直近1年の有病率が主になっています。主な精神疾患10の直近1年の有病率の合計は25%ぐらいになってしまいますが、実際の何がしかの精神疾患(メンタルヘルス疾患/不調)を有する確率は10.5% 程度と一致して報告されています(WHO、アメリカ精神医学界、ビルゲイツ・メリンダ財団等)。このことからも、1人の人が複数のメンタルヘルス不調・疾患を有している事は明らかです。

例えば、代表的な精神疾患の1つである強迫症(強迫性障害)を例に挙げてみましょう。強迫症とは、過剰な心配とそれを打ち消すための思考や行動がエスカレートし、日常生活・社会生活に支障をきたす疾患です。年単位で慢性的に続くことが多く、おおよそ人口の2~3%の方が困られているとされています。一番多い、確認強迫(不安で確認せざるをえない)を例にすると、日常生活のテンポが遅くなり、仕事がこなせない、職場で怒られる、睡眠時間が短縮する、などの状態が続き、うつ症状が悪化していき、うつ病水準に至るケースは稀ではありません。このような方が、強迫症からうつ病に発展したと自分で申告してくださるケースは、むしろ少なく、たいていは、うつ症状のみを診察やカウンセリングの場面で語られます。医師や臨床心理士/公認心理師が積極的に疑い、ヒアリングを行わないと、強迫症の存在は明らかになりません

この場合は、もちろん、うつ症状の治療・サポートは必要ですが、その原因となった強迫症にフォーカスしないと、本質的な改善は得られません。

強迫症から、うつ病の併発に至り、それらの苦痛を緩和するために、アルコールに頼るようになり、アルコール依存症まで併発している方もいらっしゃいます。もちろん、他の不安障害を併発する事もあります。

また、強迫性障害(強迫症)に比較的合併しやすい精神症状や診断カテゴリーがあります。抜毛症・皮膚むしり症・ためこみ症などです。これらは連続性・関連性があるとして、強迫スペクトラム障害というように、スペクトラム(連続性がある)として捉えることも、ここ20年ぐらいの精神医学で主流になりつつある考え方です。

メディアで報道されている病名・診断名は、その方が抱えられている困難やメンタルヘルス不調のある側面だけを、状態像で切り取っているだけの場合もあります。

治療やカウンセリングを開始するに際して、その方のメンタルヘルス不調・疾患について、正確に把握していく事は、どの心理療法のアプローチをとるかの選択にも影響するので、重要な事です。

今あなたをフォローしてくれているカウンセラーは、あなたのメンタルヘルス不調・疾患について、適切なアセスメントが出来るプロフェッショナルでしょうか。

マイシェルパは精神科専門医・医学博士からみて、信頼に足る臨床心理士/公認心理師のみを配置したカウンセリング・プラットフォームです。診断は医師のみが行える医療行為となっていますが、マイシェルパのカウンセラーは様々な精神医学的観点からの研鑽も継続的に行っておりますので、心理学的アセスメントも高いレベルで行えます。既にカウンセリングを受けられている方も、これから、カウンセリングを受けてみたいと思った方も、是非とも、一度マイシェルパをご利用いただき、本当に信頼に足るカウンセラーにふれてみていただければと思います。


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