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シェイクスピア作品感想リスト

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シェイクスピア作品の感想をまとめました。気になる作品があれば、ぜひご覧ください。
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2024年12月の記事一覧

『ペリクリーズ』ウィリアム・シェイクスピア 感想

『ペリクリーズ』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。
今回はこちらの作品です。

本作『ペリクリーズ』は1607年から1608年に掛けて執筆された作品で、「四大悲劇」と呼ばれる『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロー』が発表された後の、シェイクスピア晩年に生み出されたものです。晩年に開花したシェイクスピアの悲喜劇(ロマンス劇)は、大きく前半と後半に分けることができ、前半部分で語られる悲劇調の物語から、後半部分で

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『尺には尺を』ウィリアム・シェイクスピア 感想

『尺には尺を』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。
今回はこちらの作品です。

本作『尺には尺を』は一般的に「喜劇」として扱われています。結末を婚姻の成就で締めくくり、道化的なやり取りを据えていることからも、「シェイクスピア喜劇」の枠内に収められる要素は多くあります。しかしながら本作は、作中を通底する「死と欲」が空気を満たして作品全体を陰鬱さで覆っています。この絶頂期に生み出された『尺には尺を』は、『トロイラスとクレシダ

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『恋の骨折り損』ウィリアム・シェイクスピア 感想

『恋の骨折り損』ウィリアム・シェイクスピア 感想

こんにちは。RIYOです。
今回はこちらの作品です。

十六世紀後半、カトリック国のフランスではルターの思想を契機に勢いづいた新教派(カルヴァン派)が、フランスの商工業者層を中心に活動を強めて勢力を拡大していました。国教に背く行為であるとして、フランスは新教派に対して厳しい弾圧を与えましたが、商工業者たちが繋がっている各貴族たちをも取り込み、王権の強化に対する反発と相まって、カトリック(旧教派)と

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