白くて甘い懐かしの練乳味
ずーっと探し求めていた味がようやく見つかりました。
ヨークシャーの栄枯盛衰を感じさせる街
30歳になったころ、イギリスのブラッドフォードという街で一年過ごしたことがあります。ロンドンからだと、格安のバスに乗って北へ5時間ほど。
ブラッドフォードはウェストヨークシャー州にあります。別名「カレーの中心地(Curry Captial of Britain)」と呼ばれているほどパキスタン系の移民が多く、日本人が想像する一般的なイギリスの街とはずいぶんかけ離れた雰囲気の街です。
こちらブラッドフォードの市庁舎、この建物は美しい。
その昔は繊維の生産地としてたいそう栄えたブラッドフォードですが、20世紀に入ってすっかり衰退してしまい、(今はわかりませんが)20数年前は街の中心部には使われていない建物が結構あったり、何となく寂れた雰囲気が漂っていました。
元気なのはパキスタン系の移民の人たち。カレー屋さんもたくさんあったので、よくカレーを食べに行きました。私の人生であれほどカレーを食べたのは、後にも先にもブラッドフォードにいたあの一年以外にありません。
お店の中には、いかにもビジネスランチ御用達のような洒落たレストランから、パキスタン系の人たちが日常使いするところまでさまざまあり、私が気に入っていたのは、「カシミール」というお客さんはほぼ全員パキスタン系というお店でした。
あのお菓子、何だっけ?
そのお店で食べたお菓子が美味しくて、その後ずっと探し求めていたのですが、これまで日本で行ったカレー屋さんでは見たことがなく、あきらめていたのです。
けれども、先日、西葛西にインドのお菓子専門店があることを知り、「あの幻の味」を探し求めて、西葛西に行ってきました。
トウキョウミタイワラ
向かったのは「Tokyo MithaiWala(トウキョウミタイワラ)」というお店です。
「トウキョウミタイワラ」については、じょいっこさんがnoteに書いておられました。
探し求めていたお菓子は、私の遠い記憶では、白くて甘くて、牛乳を煮詰めたような味(つまり練乳味)だったように思っているのですが、果たしてそんなお菓子はあるのでしょうか。
到着。まずはお店の正面でパチリ。
お店の1階はテイクアウト専用、2階にイートインの場所もあります。
せっかく来たので、お店で食べてみることにして、チャイとお菓子を2品ほど。
一つ目のお菓子は「ラスグラ」。説明には「チーズとミルクのしっとり甘いふかふかお菓子」と書いてあったはずが、アイスクリームが出てきたかと思いましたよ。
食べてみると、シロップがとーっても甘い。でも、生地はふわっとしていて、そこへシロップがうまくからまって、美味しい!
もう一品はこちら。
駄菓子のような色合いにびっくりですが、揚げドーナツにシロップがかかっているようなお菓子「ジャレビ」。油で揚げているだけあって噛むと歯ごたえがあり、油と砂糖が口の中でギュッと融合して何とも言えない味わいです。
白くて甘くて練乳味は?
満腹、満腹、ということで、1階のテイクアウトで、「白くて甘くて練乳を固めたみたいなお菓子」を探します。
ショーケースを眺めて推測するに、「バルフィ」(いろんな種類がある)か、「カラカンド」ではないかと思ったのですが、試してみるにしても購入は250gが最小単位。両方買うのはさすがにちょっと多すぎ?
・・・と思ったのですが、長年探していた味を見つけ出すチャンスと考え直し、「えーい!両方買っちゃえ」と大人買い。
カラカンド250グラム
こちらはいろいろバルフィのセット
探し求めていた味は
さて、家に帰って、気持ちを落ち着けて、20数年ぶりの味に再会できるか、カラカンドとバルフィを両方食べてみました。
どちらも白くて甘くて、おおっ!練乳味!
若干、カラカンドの方が甘さパワーアップ気味ですが、私にとっては誤差範囲。
「これこれ、こんな感じ」
いったい私がブラッドフォードで食べたのはどっちだったのか、いまだによくわかりません。
そもそもインド料理とパキスタン料理に違いがあるのもわからないぐらいですから。
でも、「カラカンド」「バルフィ」この言葉を呪文のように唱えていれば、あの味に再会できるとわかったので、めでたし、めでたし。