林修氏の「やる気がないならやるな」は正論ではない
4年前の林修氏の発言
林修氏といえば、もはや説明は不要だとは思うが、おそらく日本で一番人口に膾炙している教師であろう。
彼の話はなにかと、感動した、感服した、というコメントを多く見かける。
私はTVはあまり見ないので、彼がどういう話をしたは多くを把握してるわけではない。
ただ、ネットサーフィンしていて、大変気になる発言を見かけたので、ここで紹介する。
タイトルにもあるが「やる気がないならやめなさい」という言葉。
4年前あたりにTV放送された「林先生が驚く初耳学」という番組での発言のようで、大変反響があったようだ。この言葉も、「感動した、感服した、まさに正論」といった意見が多数のようだ。
ただ、この発言についてもう少しググって調べると、私の怒髪天をついたので、ここで取り上げる。
林修氏よ、覚悟したまえ(笑)。
費用を掛けているだけでは「恵まれた教育環境」とは言えない
発言の詳しい内容はこちらの記事を参考にした。
嫌ならやめなさい。
世界中には勉強したくとも家が貧しく、働かなければならない子もたくさんいる。
にもかかわらず、目の前の学生は、両親が面倒を見てくれて、学校に行かせてくれるだけでなく、高い塾の授業料まで払ってくれるという、恵まれた環境にいる。
それなのにやる気にならない。
自分がいかに恵まれているかもわからない人間が、勉強したって意味ないでしょう。だったらもうやめなさい。
(※上記のリンク記事から引用)
「世界中には貧しい子が云々‥。」 この手のお説教もうんざりするが、それ以上にナンセンスなのは、費用をかけて教育環境を整えてるんだから、当然教育を受けている側も恵まれていると思い込んでいる点だ。
「いや、恵まれてるだろ」という声もあるだろう。だが、こちらの記事でも書いたように、脳の部位の一つである海馬ばかりに偏って酷使する教育が本当に恵まれた教育といえるのか。しかも朝から晩までほぼ毎日、学校によっては朝課外があったり、土・日・祝日はおろか、夏・冬休みも返上である。
これではブラック企業の労働以外の何物でもない。
「学校は社会の縮図」なるほど、こういうことか。
林修氏は「豊かさ」を何もわかっていない。
教育における豊かさとは
もともと学問・勉強というのは、暇を持て余した貴族たちの知的な遊びだったという説がある。
いわば知的好奇心を満たしての退屈しのぎ。
はたして、今の日本の学校環境は、昔の貴族のような時間的ゆとりと、こういった知的好奇心を満たす場所を確保されているのだろうか。
もしそうなっているのであれば、確かに林修氏の言うように「恵まれた学習環境」といえるだろうが、少なくとも私は到底そうは思えない。
私も昔の貴族に生まれたかったなぁ(笑)。
疲労を訴える学生たち
教育と医学 2016年6月号 (amazonは在庫がないと思うので、Fujisan.co.jpリンクもここに貼っておく)には、子供の疲労状態についての調査報告がある。興味深いのでいくつか転載してみよう。(ちなみに本調査は、兵庫、大阪、熊本の1000名近い児童生徒を対象に3年度にわたって半年おきに計5回の追跡調査を行いアンケートに回答してもらった)
(同書p77)
この調査によると(初回調査のみ約2000名が対象)、小学校高学年の9%、中学生の19%が1ヶ月以上も続く疲労状態にあることがわかった。
更に平日の睡眠時間の追跡調査。
(同書p78)
中学生になってから睡眠時間がガクンと減っているのがわかる。いわゆる「中1ギャップ」と呼ばれる現象も、こういったデータにもよく表れている。学校にもよるが、おそらく、朝から夕方遅くまで勉強し、それに加えて部活動、そして夜遅くまで塾‥。もちろん学校、生徒によって差異はあるだろうが、こういったことが特に中学校を境に増えるのであろうと推測され、そのため睡眠時間も削っているのだろう。
因みに私の個人的な中学校の経験からすると、成績は、あまり勉強せずとも相変わらず良いのは小学生時代から変わらなかったが(因みに塾も通ってない)、部活動の入部は強制で(因みに野球部だった)、やはり土日祝や夏、冬休みもほぼ返上だった記憶があり、そのため部活動をすっぽかして逃げたり、別の活動が緩い部活に転部したいとごねたこともある。野球自体は好きだったのだが、練習日程がハードで、疲労のせいか体のパフォーマンスもろくに発揮できず、野球部の同学年のメンバーで私だけ唯一、公式の試合に1回も出れなかった。
‥とまあ、中学校時代の野球部への恨みつらみを書いてしまったが、学生時代の自伝的な記事もそのうち書こうかなとは思う。まだそれをできるだけの労力的、時間的な余裕はないけど。
私の場合は、塾に通ってなかったということもあり、睡眠時間を削ることはあまりなかった。おそらく他のクラスメイト以上に夜更かしはほとんどしなかったと思う。ただそれでも、やはり当時を思い返してみると、持続した疲労は少なからず感じていたと思う。まあ、部活動の影響が大きいとは思うが。
疲れていれば意欲が落ちるのは当たり前
あと、引き続き前項の調査で、もう一つ興味深い調査報告もある。
(同書p79)
調査方法は「チャルダー疲労質問票」より算出した疲労度と、「内発的―外発的動機づけ尺度」から算出した学習意欲の関連性を検討したもの。
疲労度が高いほど学習意欲が著しく低下してるのがわかる。
まあ、でも考えてみればこの現象は当たり前ではないかとは思う。
誰だって、疲れていれば何もする気が無くなる、というのは感覚的に理解できると思う。(もちろん、この調査が蛇足だったという意味ではなく、この調査自体は、大変意義のあるものだろう)
ましてやこの疲労が前項の調査報告のように1ヶ月以上も持続してれば、猶更であろう。
林修氏は生徒の心身の健康状態も何もわかってない。
おそらく、疲労に悩まされている生徒に歩み寄らず見捨ててきたのだろう。
後書き
私は不登校時代の後遺症である易疲労性(疲れやすい体質)がいまだに残ってしまってる。それ故、働くのみならず、何かしら活動するにも重い足枷となっている。ただそれでも、できれば親元は離れたいし、一人暮らしができればと思う。前々から計画していたライブ配信でライバーデビューはそのためのきっかけとなればいいのだが、いかんせん夏場だと自前で作った防音室が暑くなることが予想され、ただでさえ疲れやすい体なのにそれに追い討ちはかなりキツイ。というわけでひょっとしたらライブ配信開始は9月頃までずれ込むかもしれない。詳細は追って報告したいと思う。
あ、あと私のコンテンツのポータルサイト的なものを作った。一応、ライブ配信など、諸連絡はここでも行うのでよろしければブクマしといてください。(リンクはここから)
では、また。
もしサポートしていただけたら、励みにもなり、書物や資料なども購入しやすくなり、もっと良質な記事をかけると思いますので、ご支援お願いします。 m(_ _)m