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To be, or not to be…「ハムレット」について
To be, or not to be…
久しぶりのパブリックシアターで、野村萬斎構成・演出の「ハムレット」プレビュー公演を観てきました。
かつて萬斎が演じたハムレットを息子の裕基さんが演じ、代わりに萬斎はハムレットの父王の亡霊と叔父を演じるという、親子代替わりの注目の舞台。
裕基さんの若々しくエネルギッシュな演技に感心しつつ、やっぱり萬斎の声や動きの抑揚・緩急・リズム感…すべてが計算されているようでありながら至極自然で、この人の技術とセンスは絶対的である、と改めて思わされました。
きわめてキリスト教的なシェイクスピア現代劇に、歌舞伎や狂言といった日本の古典的な演出が織り交ぜられ、いっそう目を見張り、耳をそばだて…
萬斎らしい日本語の言葉遊びが散りばめられているのも楽しかったし、衣装もヨーロピアンとシノワズリと和の要素が混じって美しく、目に鮮やかでした。
恥ずかしながら「ハムレット」の話の筋を知らなかったのですが、あのラファエル前派のミレーが描いた「オフィーリア」がこういう経緯で川で溺れてしまったのかとやっと話が繋がりましたし、福田恒存が「『ハムレット』は『演劇の演劇』であり、主人公は自己の宿命と自由、必然と偶然の二律背反を意識し、興じて『演戯』している」と述べていたこととの答え合わせができたように思います。
私たちは、「生きるべきか、死ぬべきか」善悪のはざまで自己に与えられた運命に苦悩することもあるし、またあるいは「生きているか、死んでいるか」というほどにつまらない凡庸な日々と自己にうんざりすることもある。
劇的な生と、非・劇的な生を往来しながら、運命を受け入れつつ、最大限に自由を獲得し、逆説的に「自分である」ことを確立できるかが大切。
白と黒には分けられない、グレーの濃淡で、自分という人間を、マジと道化で、面白く描いていきたいですね。
観られてよかったなり。
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