忍者で食べていけるの?
忍者として食べて行くには
夢に向かって一歩踏み出す勇気が出ないのは、やはりこのテーマが重くのしかかってくるからではないでしょうか。
忍者と言っても、「役者」という立ち位置になるので、やはり不安定なお仕事である事は間違いありません。
今回は私が経験した10年間を思い返して、どれくらいの生活が出来るのかを順を追って書いていきたいと思います。
1.殺陣教室に通い始める
第一歩となるのはやはり教室に通う事。
この時点ではもちろん収入ゼロです。
むしろ教室代でマイナスなので、確実に仕事(バイト)をする必要があります。
大人向けの教室は仕事終わりに通える時間に開催している所が多いです。
この時期は稼ぐより技術を身に付ける事に集中しましょう。
また、教室のイベントなどでステージに参加出来る場合は積極的に参加することをオススメします。
実践や人に見られる事が何よりも大切な経験となります。
2.研修生になる
劇団や芸能事務所が開催している教室は、研修生制度がある所が多いです。
一般クラスで物足りなくなってきたら研修生になりたい事を講師に伝えてみてください。
この時点でも収入はほぼゼロ。むしろマイナスだと思って下さい。
ただし、ステージ経験の回数は格段に上がります。
ここでひとつ目の難関ポイントですが、仕事ができる時間が限られてきます。
劇団や事務所主催の本公演などが近いと、昼から夜中まで稽古をしたり準備を手伝ったりと、日中も拘束されることが増えます。
もちろん、「仕事があるので夜から参加します」と伝えて参加する事も出来ますが、やはり役者の世界は「やる気」の世界。
仕事よりも舞台を優先する人から順番にアンサンブルなどの脇役に抜擢されやすくなります。
仕事を辞めて時間の融通がきくバイトに変更するか否かの、一歩踏み出す難関ポイントです。
私は仕事場に出勤日の減少を伝えました。
ありがたい事に、個人の設計事務所で夢を応援してくれていたので、平日の3日だけ出勤というスタイルを許可してくれました。
無理だと言われたらバイトを探す予定でした。
ここでひとつポイントですが、バイトをする際に、出来るだけステージに関わるバイトをオススメします。
テーマパークのバイトなどが1番良い環境だと思いますが、近くにそういった場所がない場合は接客が出来るバイトを選んでみて下さい。
人と接する事は今後の役者生活に大いに影響してきます。
私のオススメはスポーツジムのトレーナー。
身体の使い方を学ぶ事もできるし、トレーニングにくる方たちとコミュニケーションを取ることも出来ます。
さらに、朝の時間帯が人手不足な所が多いので、昼から夜まで稽古がある場合でもバイトが出来ます。
3.遠征は積極的に参加
研修生になると、所属劇団や事務所の公演以外にも、外部出演のお話が来ます。
むしろ、そっちがメインになります。
現場のお知らせがあれば出来るだけ参加しましょう。
役者としての収入が見込めます。
出演料は基本的に日給制ですが、満額自分に入って来るのではなく、クライアントは所属劇団や事務所に出演料を支払い、所属事務所は何%かのマージン(手数料)を取ってから役者に支払います。
このマージンが研修生時代は多く取られます。
基本的に自分に入って来るのは10〜30%と思っていた方がいいでしょう。
とはいえ、テーマパーク内のステージやイベントに出演出来る事もあります。
テーマパークはリピーターさんも多いため、ファンを付けると今後の出演舞台を見に来てくれたり、自分のお客様として貴重な存在となります。
また、1日だけの現場や長期間の現場など様々ですが、一緒に仕事をする仲間はしっかりと挨拶してコミュニケーションを取ることをオススメします。
1日だけとはいえ、「また会いましたね」という感じで他の現場で会う事は多いです。
なぜなら、忍者というより時代劇の現場は、ほぼ同じ人たちの集まりです。世界は狭いです。
会った事がなくても、毎回同じ名前を聞いたりします。
役者は名刺交換などはあまりしないので、芸名などの名前や所属先を名乗り、相手の顔をしっかり覚えるのが最初のお仕事です。
人が多すぎて分からなくなる場合は、名前だけでも覚えておけばネットで調べると出てきます。
もしくは、インスタやXなどのSNSをフォローし合うのもオススメです。
4.劇団、事務所の所属メンバーになる
研修期間が終わり、劇団や事務所の所属メンバーとなれればプロとしての一歩目です。
基本的に収入が見込めますが、生活に余裕があるかといえば微妙です。
バイトは続けた方が賢明です。
優先的に舞台に出演出来たり、現場に出た場合はマージンのパーセンテージが変わるので研修生時代より収入が増えます。
手取りは大体40〜70%ですが、これは所属先の規模に大きく左右されるので契約書でしっかり確認してください。
劇団や事務所も、所属メンバーは出来るだけ仕事が空かないように次々と現場を出してくれます。
オーディションがある場合は落ちるのが前提なので、どんどん受けましょう。
ここでずっと続ける事もオッケーですが、もし次のステップに行きたい場合は独立です。
5.独立、フリーランスになる
人脈が出来て個人的に仕事をもらえるくらいになると、事務所にマージンを取られる事が億劫になってきます。
そういう時に独立という言葉が頭をよぎると思います。
独立すれば出演料は100%自分に入ってきます。
ただし、仕事は自分で取らないといけないので、仕事が取れなければゼロです。
独立する際に大切な事が、劇団や事務所との契約内容。
退団後に同種の仕事をする事を禁じている事が多いです。
ずっとではなく、1〜2年は禁止としている事が多く、それが引っかかって退団出来ないという場合もあります。
人間の心理ですよね。
劇団や事務所も、やっと育った役者が出ていかれると困るので引き留めようとします。
私の場合ははっきりと記載されていなかったので辞める時に確認をしました。
「自分で現場をもらったら役者の仕事をしても良いか」と。
「もちろん良いよ」との返答だったので、そのまま続けました。
もし、契約書に禁止と書かれていたら、「○○年○月からは役者として仕事しても良いですか」と年月日をしっかり確認しましょう。
また、禁止期間もどの範囲までは関連の仕事が出来るのかも確認しましょう。
テーマパークのバイトはオッケーなのか、裏方の仕事は良いのか、ステージに立つ事自体がダメなのかなど。
その上で、今まで培ってきた人脈の登場です。
舞台の裏方や設営のお仕事がもらえる場合は積極的にお仕事したり、殺陣教室を行っている知り合いが居ればサブ講師として参加させてもらったりと、禁止期間を乗り越えて下さい。
禁止期間も今まで出会った人たちと繋がっておく事で、解禁されたら声をかけてくれる人情高き世界です。
そして、この休息期間にいろんな舞台やイベントを客観的に見ることで自分の引き出しが増えます。
突っ走る事だけが役者の道ではないので、この期間も楽しんで下さい。
6.フリーランスで食べて行くには
現場をもらう事も大切ですが、それだけでは厳しい世界です。
なので、教室を開いて定期的な収入を見込めるコンテンツを作ったり、来てもらうだけでなく、自分もお客さんとして知り合いの舞台を見に行く事で逆に仕事がもらえたりします。
自分で仲間を集めて舞台を開催する事も時には必要です。
忍者や時代劇の現場は狭い世界です。
大体決まった人たちがアイディアを出し合って人を集めてステージを作っています。
その一員になれるように、下積み時代から積極的にコミュニケーションを取るのが、独立後も忍者で食べていける大切な事です。
まとめ
いかがでしたか?
やはり役者として食べて行くのは難しいなと思いましたか?
それとも、いけそうな気がすると思いましたか?
質問があればコメントで聞いて下さいね。
少しでも一歩踏み出す勇気が出るお手伝いができれば幸いです。