半世紀経て食べられるようになったもの
子供のころ、なんであんなに嫌いだったのかしら、ちっともわからないという経験はだれにでもあるのではないだろうか。今日、facebookに流れていた料理家の野上優佳子さんの記事を読んで、ひょいと覗いた過去記事リンクから読んだのはオートミールのファストブレッドの記事だった。とってもおいしそう。材料が全部あるから近日作ってみよう。この記事にはオートミールのおかゆのことも書かれている。
子供の頃(今を去ること半世紀以上前)、わがやの朝食にはときどきオートミールが出てきた。典型的なポリッジ=おかゆ。いつもはポンと飛び出すトースターに1人ずつ食パンをセットして、それぞれバターを塗っては好きなものを乗せるというスタイルだったから、もしかしたらオートミールのおかゆはたまに気合をいれた食事だったのかもしれない。オートミールをミルクで煮て、軽く砂糖、ちょこっと塩で味をつけてある。薄く甘じょっぱい。
ところが、わたしはこれがとにかく嫌いだった。弟はいかにも美味しそうに更に砂糖を振ってバターのかけらを乗せて食べた。おとなはちょこっとシナモンを振ったりして食べた。わたしは喉につかえさせながら、渋々食べる。散々努力して食べたあと、まだ消化も始まらないうちに胃が反乱を起こしてぜんぶもどってしまう。
何が嫌だったんだろう。煮えたミルクの匂い、ベタベタしたオートミール。多分食感かな。
半世紀を経て、試してみようと最近オートミールを買ってきた。昔ながらのクエーカーオーツのロールドオーツ。ミルクで煮るとダメかもしれないと、チキンブロスで煮てみた。塩味で。ん?ぬるぬるするけど悪くないな。ぬるぬるも視点を変えれば悪くない。いよいよミルクで煮てポリッジに。拍子抜けするほど普通に食べられた。なあんだ、あんなに食べられなくて、好き嫌いはないけどネギの酢味噌ぬたとオートミールのポリッジは避けたいと思っていたのに。
とうとう半世紀を経てわたしの苦手が一つ減った。今は食べるものがいっぱいあるから、嫌いでも無理して食べることもないのだけれど。