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【街の心理士】対人援助における“支援の質”を本気で考える(その4・小括)【雑記】

【街の心理士】対人援助における“支援の質”を本気で考える(その4・小括)【雑記】
「サイコロジー・メンタルヘルス&日々のあれこれ」

 助っ人として携わっている社会福祉法人で、スタッフの方々と「支援の質」についてディスカッションをしたことを契機として、この話題についての私見をまとめています。経験の大小や立場の違いを結ぶ横糸となることを意識した文章なので、噛んで含めるような、ともすれば我ながら冗長な文章であることをお詫びしつつ、ここまでの内容を小括したいと思います。

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 対人援助における支援の質について議論する時、関わる者の多様な価値観を反映した発散的な議論を、支援の成功として実務に反映させなければならない。

 飲食店を例に考えれば、来店客のニーズが単純な「牛丼チェーン店」であれば、その質を過不足なく代表する測度の数は、決して多くはない。顧客ニーズがより多様な「割烹料理店」であれば、その「質」の表すものは複雑にならざるを得ない。

 対人援助では、クライエントのニーズは、顕在的・潜在的なものを含め多様であり、そのニーズが時間経過によって変容することすらある。直接のクライエント以外のプレーヤーの利害を考慮する必要もあるため、ニーズの充足に関わる質的要素の複雑さは桁違いである。

 数字で表され可視化された「量」に対し、「質」とは数字にならず目に見えない大切なもの、と理解されがちだが、実際には「量」的側面と「質」的側面は、相互補完的な要素として、対人援助(飲食店でも)の営みを考える上で、ともに欠かせないものであると考えられる。

 「量」的情報は単に数字なので、「質」的情報がなければその意味を説明することができない。逆に「質」的情報だけでデータの裏付けがなければ、伝えられる内容は貧相で独善的なものになってしまうだろう。

(つづく)

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