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育児が大変であってほしいという願い
私は夫に隠している事がある。
仕事より家事育児の方が大変!そんな声は大きい。眠くてご機嫌斜めな我が子を寝かそうと夫が試みるが一向に寝る気配がない。そして5分でこう言った。「仕事のが楽だわ‥」
私は頷いた。少しの罪悪感を感じていた。
私は今、産休中だ。我が子は夜中に2、3回は目を覚ますが1人で対応している。保育園へ通う長男がいるので朝も家族と同じ時間に起き送迎し帰ってきたら次男と2人きりの生活。夜間こそしんどいと感じる事は多々あるし、生後1ヶ月の次男を連れて片道15分以上かかる保育園への送迎は冬場と言う事もあり衣服やらなんやら気を遣わなければいけない。しかし家に帰ってきてしまえば昼間は充実感すら感じていた。
それを夫に隠しているのである。
仕事から帰ってきた夫に対して「昼寝しなくて大変だったんだけど!」とか「寝ても20分で起きる!」とか「抱っこでしか寝ない!」とか大変さアピールばかりしてしまうのだ。もちろん出来事に嘘はないのだけれど、大袈裟に言ってしまう。
実際は、午前中窓から差し込む光で心が落ち着くこと。送迎から帰ってきたあと車に揺られて眠った我が子を片目に食べるパンとコーヒーで心穏やかになれること。夫にアニメを勧められ見たらハマってしまい家事育児の合間の楽しみが出来ていること。家事は夫が帰って来るまでに終わらせられればいいやっ!と焦りがないこと。
心が整った状態でする育児は大変と言うには大袈裟だった。もちろん楽ではないけど。あと、大きいのが次男は長男に比べたらいわゆる育てやすい子だ。
これから月齢が大きくなっていけば一筋縄ではいかない事も長男を育てた経験から分かっているが、現状日中参った‥と感じる事はそれほどない。
元々は正社員で介護職をしていて現場は一日動きっぱなし。職員同士のしがらみもあり帰宅後は職種は違うが同じ職場で働く夫とビール片手に愚痴をこぼす毎日。帰って何をするより先に冷蔵庫からビールを取り出す日も少なくなかった。お酒が進んで小さい事で言い争う事もよくあった。平日に穏やかさなんて微塵も感じた事ないかも知れない。家事育児は完全折半してはいたけど、それでもフルタイム働きながらの家事育児は怒涛の日々だったように思う。
そんな激しい毎日から私だけ産休育休という形で離脱した。穏やかさを手に入れた。期間限定ではあるけど。夫は今も戦場で戦っている。同じ職場で、職場の雰囲気や日々の慌しさを知っているからこそ自分だけ穏やかさを手に入れていることに少しの罪悪感があるのだ。
だが、産休最高!なんて叫ぶわけにはいかない。
夜間対応が続く日々で寝不足なのは事実だし、身体だってまだ妊娠前の状態には戻ってはいない。数日前にも疲れから38度以上の高熱を出している。夕食作りは夫がしてくれているが、産休最高!と叫んだことで私の担当になるのはしんどい。
少しくらい"しんどかった!"と言える環境の方が都合がいいのである。
親からのサポートなんてものは産後すぐからゼロ、全て夫婦2人で対応しているから実際他の家庭から見たらしんどいのかも知れないが、そのしんどさから穏やかさを見付け出して日々ご機嫌に生きる自分を褒めたいし大切にしたい。またその方が夫にも優しくできる。事あるごとにありがとうの言葉とちょっとしたプレゼントなどしているが、そんな可愛い妻でいたい。
だから今日も私はこの期間限定の穏やかさを守るべく言うのだ。
めっちゃ大変やった!寝やん!もう私倒れるで!!!!