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ショート怪談「人形」

ある日、臼井(うすい)さんは、通販アプリで和服を着た等身大の球体関節人形を見つけた。等身大という大きさや球体関節人形ということもあって、その人形はまるで生きているかのような感じがした。その魅力に惹かれた臼井さんは、例の人形を買うことを決心した。


数日後、その人形は宅配を通して自宅に届き、リビングに飾られた。その日から、臼井さんの身に不可解な現象が起こり始めた。深夜、臼井さんは人の気配を感じて目を覚ました。リビングの辺りから足音、そして微かに聞こえる女の笑い声がする。そう、例の人形がいる場所だ。臼井さんは恐る恐るその人形を見るが……人形は確かにそこにいた。気のせいだと感じた臼井さんは再び寝室に戻った。


トン トン トン トン


「フフ、フフフフフ」


再び奇妙な現象が発生した。目を開け起き上がろうとした瞬間、人形が臼井さんの目の前にいた。動くはずのない人形の表情はひきつったような顔で、狂気的に笑っていた。


翌朝、臼井さんは人形を遠くのゴミ捨て場に捨てた。もうあの人形に苦しめられることはない。臼井さんは肩の力を抜き、安堵の様子を見せた。


その日の晩、臼井さんは遺体となって発見された。

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