きらきらした金柑の宝石
我が家の庭には金柑がなるのだけど、昨年は特によくとれて、とても食べきれないので蜂蜜とか氷砂糖とかでシロップ漬けにした。(と書いているが、母がである)
金柑とお砂糖をだんだんに入れて蓋をして置いておくと、段々汁気が浮き出てきて薄い金色のシロップができる。
それをすこしずつすくって、ヨーグルトとか、アイスクリームとかにかけて食べるのだ。
庭の檸檬も一緒に余っていたので、おんなじ様にシロップ漬けにしてもらった。檸檬はすっぱさが強いので、これまたよく合う。
お湯を入れて割っても美味しい。
半年くらいかけてシロップを全部食べつくしてしまうと、今度はそこにふにゃふにゃとたまった金柑の皮がもったいなく思える。
風味はシロップに溶けたとはいえ、つまんで食べるとまあ美味しい。そもそも金柑は皮が美味しい。
残った金柑を細かく刻んで、お砂糖をたっぷり入れて煮詰めると、金柑の皮はきらきらと透き通って琥珀色のジャムになった。
私はまるで宝石だねと言いながら、たっぷりすくってパンにのせて食べた。
歯ごたえはみっちりとしていて、クッキーにサンドしてみても美味しそう。指でつまんで横から光を透かして見てみたい。
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琥珀色、蜂蜜色、鼈甲色。
少し重みのあるオレンジ色に昔から憧れがある。
一度インクにはまったことがあり、愛用の北海道で買った軸が真っ赤のガラスペンを片手に色々な色を選んで並べていた。
一番のお気に入りは朝焼けの小鳥色(たしか。)
淡い紫の夜明けの、すこし明るくなって、白く霞がかった空の色だ。
当時の私は、どうしても琥珀色のインクがほしくて、手に入れたら、大きめの万年筆に入れてペン先をぬらぬら滑らせながら文字とか絵とかを書いてみたかった。
その当時、ちょうどスーベレーンが期間限定で茶軸を出していて、琥珀色のインクが絶対合うと思ったのだ。さくさくしたコーヒーキャンディーみたいに可愛くてものすごく迷ったのだけど、小さいサイズしかなかったので結局諦めて買わなかった。
理想の琥珀色のインクは結局見つからなかった。
薄茶色とか、オレンジ色とかのはあったのだけど、理想の琥珀色であるためには濃い茶色の中に光るオレンジ色である必要があって、
それからつやつやしていてほしくて、
それを考えるとインクが乾いてしまってはいけないかのようなおかしなかんじになる。
「ビルマの琥珀」という名前のインクがあるのだけど、
今検索してみたらそれなりに良いような気がした。
当時の私は何が気に入らなかったのだろう。
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ジャムはそろそろ無くなりかけている。
金柑の旬は11月からなので、次の収穫が楽しみだ。