未来予報株式会社の作り方
3回に分けてお送りしている未来予報株式会社(VISIONGRAPH.Inc)に聞く未来の話、今回は未来予報株式会社ができるまで、お二人のバックグラウンドについて中心にお伺いしました。
前回はこちら
1回目「未来を予報する仕事について聞いてみた」
きっかけは事業会社での新規事業
ーーお話を伺ってみて、ネットでSXSWの情報見てもお二人と同じことはできないと思うんですよね。
※インタビュアーの酒井とお二人はCMの制作会社である葵プロモーション(現:AOI Pro.)で同僚でしたが、私が所属していたときは3人ともデジタルコテンテンツを作る部署、受託で広告案件のウェブサイトを作るのが主な業務でした。
曽我:その後、UXプロデュース部という部ができて、広告じゃない受託案件や、自社サービスを作ってましたね。1年くらいそれをやって経営企画のほうに行ったんですよ。IRとか株主総会とかあと株、個人投資家向けの資料を全部僕の方で改訂したりして。スーツ着て証券会社行くっていうのも良い経験になりました。
ーーIR作った経験とかは今に生きているんでしょうか?
曽我:他の会社の中経(中期経営計画)を分析するとかはやっていたからそういうには役に立っていますね。
宮川:ニュースをあえて作りたいからこういう未来の〇〇を出したいという、IR的な側面が強い未来像の提案依頼を受けたりするので。
曽我:その後は事業開発部っていうところも兼部して宮川さんと一緒にPhotonっていう撮影場所のCtoCサービスをやりましたね。1年半くらい。
ーーそのサービスはどんなきっかけで始まったんですか?
宮川:事業開発部のミッションが「何かサービスをつくれ」っていう。それでメーカー出身の事業開発専門の師匠がいて、3人でCtoCサービスの事業計画書をつくりました。制作費は出たんですが広告費なし。
曽我:CtoCのサービスなので、貸す物件のオーナーを集めなきゃいけないので営業代行の会社の費用は捻出して。プロモーション費用とか一切無いから自分たちでオウンドメディア作って、ワードプレス作って、DMをいろんなとこに送って、チラシ作って・・全部手弁当でやったという。ほぼ3人でやって。
曽我:スタートアップのイベントにもいろいろ出ましたね。
ベンチャーと大企業の新規事業の温度差
宮川:最初は一切言語が合わないから全然コミュニケーションが取れなかった。私たちは広告しか知らなかったから彼らがどうやって収益を上げてるかも分からないし、広告モデル、受託しか知らないから彼らがどうやって自分たちのミッションをもってサービス立ち上げてるとか、まだ市場があるかわからないプロダクトを売るってまず知る由もないから。その時はもう悔しくて、なんでこんなに自分たちは役に立たないんだろうと、劣等感を感じていましたね。
ーープロダクトがあっても違いました?
宮川:違いましたね。社内の事業開発と、起業して、後がない人達との話は違った。サービスがもし失敗しても、投資したお金がなくなっても給料もらい続けられるし、失敗だったねっていうだけで特にペナルティも具体的に発生することも少ないだろうし。
ーーそこの違いって今お仕事で接しているベンチャーの方と、大企業の新規事業の方との温度差ってありますか?
宮川:そこはめちゃくちゃあります。
曽我:僕らが付き合いのあるベンチャーって創業して間もない人たちでサービスインもしていない人なので、ギリギリ感ていうのはやっぱり全然違いますね。
広告業界の危機感から生まれた未来予報
ーー未来予報は最初会社の課外活動として始めたんでしたね。
曽我:自分達の未来、広告業界はどうなるんだっていうのをまず最初調べ始めた勉強会がスタートですね。
宮川:会社の人たちって広告以外知らない、新しい事業やらなきゃいけないとかの危機感がなかったから、葵プロが変わるために何か勉強会ができるかもしれないねっていうのが最初のきっかけでした。
当時Flashによるweb広告が激減したこともあり、今の制作スタイルが大きく変わるんでないかという話も背景にありましたね。
ーー「会社のためにも繋がる」とスタートした活動が「自分たちのため」になったきっかけは何でしょうか。
宮川:自分たちのために大きく舵を切ったのはSXSWが大きいですね。そこで東大のチームと出会ったことも大きいです。スタートアップって面白いなと。2014年に会社から印刷費用を出してもらって社内向けの本を出したんですが、それを社外に向けにアレンジして発信していきました。スタートアップのイベントに登壇したり。
曽我:それから2016年起業したんですが、1期目はスタートアップの仕事が多かったですね。
宮川:スタートアップの未来像を作るお手伝いをしたり、プロモーションのお手伝いをしていました。
曽我:開発の初期段階から入って、クラウドファンティングや市場デビューまで手伝ったりとか、開発チームの人とがっつりとタッグを組むのは初めてでした。 CMOという感じで中に入ってやる感じですね。その他にもポイントで投資家向けの資料を作ったり、ピッチ指導なども行ったり、メディアの人に未来を感じてもらうような発表会の原稿の骨子を作ることなどやってました。
ーー現在もそういったサポートをされているんでしょうか。
曽我:2期目からはスタートアップのサポートはつながりのある方だけに限ってやっている事が多く、主に大企業に対してアイデアを作る前段階の仕事、といように変わりました。
ー次回に続きます