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【連続note小説】日向食堂 小日向真司79歳 〈最終回〉

真司が死んだ。
極々、どこにでもある普通の人生だった。
 
人は魂となった後、生きた証がどこに残されるのだろうか。
その存在が忘れ去れるほど、悲しいことはない。
真司の生きた証は・・・。
 
真司の告別式の参列者
真司の愛すべき子供たち:優子、幸次とのその家族たち
夢を叶えてもらった弟:小日向歳之とその家族たち
いじめから助けてもらった料理人:吉田浩二
人生を取り戻してもらった起業家:稲本武敏(慰霊)
ご飯を食べさせてもらった元プロ野球選手:本田利次
お金がない時に食事の面倒をみた男たち:岡崎敏樹、長友勇次
子を失くした絶望から立ち直った夫婦:中村友之・美智子
真司の料理を毎日のように食べに来てくれた近所の工場の従業員たち
愛弟子:香川吾郎
そして魂となった誠司、文枝、あおい
 
皆が泣いていた。
そして真司の旅立ちに別れを告げた。
 
吾郎は真司の霊前の前で言った。
「オヤジさんの料理にたくさんの人が救われたなぁ。
 オヤジさんの料理の味はきっと誰も忘れられない。
料理人冥利に尽きるじゃないか」
 
真司の生きた証は、真司を愛した人たちの心に残された。
皆、真司のことを生涯忘れないだろう。


〈完〉


<前回のお話はこちら>

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鈴々堂/rinrin_dou@昭真
小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。