最後の話。 その時の僕は、親から貰ったものと あたかも、自分で手に入れたように感じていたものと 偶然をよそおった必然と・・ 一緒に暮らしていた。 幸せで、楽しくて、 それでいて 順風満帆のようにも思えたし それだけで良かった。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 僕は、神様。 こどもの頃、ハムスターを二匹飼っていた。 ネズミ算式に増えなかったので、 オス同士かメス同士だったのだろう。 家と言うか・・
眠りに落ちるとそこは天国だった。 中立。 そこには、不安も希望もなかった。 ただ、あの現実には戻りたくはない。 ここなら、安全。嫌な事は、何一つない。 ここにいたい・・ もう、ずっと、ここにいたい。 でも・・ 違う・・ ここは、天国じゃなかった。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ある春の日 昨日から妻の病室に泊まり込んでいる。 夫として妻の最後に立ち会うために・・ あの時改変された現実が、もとのシナリオに戻されている。 誰かが裏切った・・ そう思った
その廊下の先には、 忘れる事も、 逃げる事も、 保留する事も出来ない、ひとつの避け切れない現実があった。 何が起きても大丈夫・・ 当時の僕には、そんな高等な哲学は有るはずも無く ただ、 有無を言わさず迫り来るその時に脅え、 そして目をそらしていたのかも知れない そんな事が起こるはずがない・・ ただ、今でも、実感が残っている。 アリアリとして・・ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ある日の夕食 新婚。 子供なし。
逃げ墜ちる その現実は、なにひとつ改変されなかった。 やはり息苦しい・・ この苦しみは、いつまで続くのだろう・・ 期待させられて突き落とされた。 やっぱり、妻は、死ぬんだ。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 現実の改変 体外離脱した僕は、 いや。 当時の僕は、幽体離脱って思っていたのかな? とにかく、7・8才くらいまで僕は、毎晩のように眠ったあと、身体を抜け出して楽しんでいた。 そんな記憶がある。 もちろん、ずっと、こんなバカげた記憶は、夢か妄想だと思っていた。
人間の屑 人生に青写真が有るのだとしたら・・ 僕の、あの悲劇は、 外せないイベントとして僕の人生に組み込まれていたに違いない。 宿命のように きっと、どうしても避けられなかったんだと思う。 どうあがこうが、すべては、あの廊下に繋がっていたはずだ。 今も、そんな風に考える。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ フラッシュバック その映画館は、女の子たちが、 すすり泣く声でいっぱいだった。 僕も、カッコ悪いけど涙が止まらない・・ 主人公が、海底に沈んでいく 女の子
そこで、彼らは、こんな風に言ったんだ・・ 時間とは、夢を見てるあいだのことなんだよ。 そんなの、本当は、はじめから、どこにもないんだよ。 僕も、何だかわくわくして・・ うんうん。 知ってる。 知っていたのか、嘘をついたのか、 それは、もう、おぼえていないんだけれど。 でも、 それはもうわくわくするから・・ ちいさかった僕は、 ただ、わくわくするから、「知ってる」って答えたんだ。 そこだけ、はっきり覚えている。 たぶん、それが真実なんだろうと思う。
・・・・・・・・ つまらない隠し事をしていた。 つまらないと言ったけど、 僕にとって、本当は、つまらなくなんてない。 これは、もう僕の中で、 今、一番重大な問題になってしまっている。 でも、多分、僕じゃなくて、みんなから見ると かなりつまらない、どうでもいい軽い問題だと思われそうだ。 そんなふうな、つまらなくもなくつまらない・・ そんな、隠し事をしていた。 ☆☆☆☆☆☆ シナリオ ここは、居酒屋チェーン「○ンズ」 関西圏で、当時一世を風靡した居酒屋
希望の向かう先 この星の人間ってやつらは、 自分で自分がどれだけ疲れているのか よくわかっていない。 どれだけ傷ついているのかの自覚もない。 というか、まったく気が付いていないようだ。 たとえそれが、生命を左右する危機だったとしても・・ もちろん、わからないものは、わからないし。 気がつかないんだから、どしようもないない。 これは言わば、 意識外からの攻撃みたいなものだ。 気付いていることは、気がついた事だけだし 知ってい
ああ、やはり今日も息苦しい・・ 僕は、車をいきおい良く駐車スペースに放り込んだ。 ブレーキの荷重を、まだ前に残したまま、キーを抜き、エンジンを切る。 そして、意味もない虚勢を張った勢いで車のドアを開けた。 ちょっと乱暴にふるまう事で、この息苦しさから ほんのちょっとだけ、解放されるかも。 そんな風に思ったのだが、そうでもなっかた。 大病院の駐車場も、流石にこの時間帯になると空いている。 これは、ちょっとした救いである。 昼