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エッセイ「徒然なる日々の瞬き」

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2024年9月の記事一覧

エッセイ「徒然なる日々の瞬き」2.本屋さん

エッセイ「徒然なる日々の瞬き」2.本屋さん

 つい、本屋「さん」と簡単な敬称をつけて呼びたくなってしまう。どうしても本屋「」と呼び捨てにはできない。どこか近くに本屋はないかと調べるときにも、「◯◯駅 本屋さん」なんて無意識検索してしまうくらいだから、重症だ。

 敬称をつけること自体はまったく悪いことではない。相手を尊重していることの現れだから、それはもう、素晴らしいことだろう。けれど、それであるならば本屋だけに「さん」をつけるのはおかしい

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エッセイ「徒然なる日々の瞬き」3.写真

エッセイ「徒然なる日々の瞬き」3.写真

 常に何かいいものはないか、と思って物を見ているわけではない。たまたまその瞬間に出会えた時にシャッターを切る。それが一番素敵な出会いだと信じている。

 最近は手に入れたばかりのフィルムカメラを持ち歩いているが、それでもスマホで撮ってしまうことも、よくある。癖というのはそう簡単にはなくならない。思いがけない瞬間を、と思えば思うほど、最初に手に取るのはスマホになる。あれ、これでは“たまたま”の出会い

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エッセイ「徒然なる日々の瞬き」4.猫

エッセイ「徒然なる日々の瞬き」4.猫

 ひとつ前のアパートに住んでいたころの話。そこにはアパート専用の小さな駐車場があった。ペーパードライバーのわたしは、特に利用することなく引っ越す日を迎えるのだろうと漠然と思っていたのだけれど。とうとうそんなわたしにも、駐車場に立ち寄る理由ができてしまった。猫である。
 ある日、ひょっこり現れたその猫は、わたしが見つけたその日から、アパートを離れるその日まで、ずっと駐車場にいた。わたしはその猫のこと

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