【歴史に学んだ北欧家具デザイナー】　「古典の中に優れたモダンがある」

北欧デザインと聞けばまず間違いなく挙がる名作「yチェア」。実は1000年前にデザインされていたって知ってましたか？

歴史の力を借りて、明日を少しでも良くしようとした人々の話。

・近代インテリアの父、コーア・クリント

「古典の中に優れたモダンがある」。そう弟子たちに語り、デンマークを一大家具王国へと昇華させた、近代インテリアの父、コーア・クリント。

・歴史を紐解き、500以上の傑作チェアをデザインしたハンス・Ｊ・ウィグナー

その影響を色濃く受けたハンス・Ｊ・ウィグナーは、17歳で家具職人のマイスターの資格を取得。過去の歴史を紐解き、生涯で500以上の傑作チェアをデザインした。その作品は世界中の図書館や公共施設に納入され、今でも愛され、使われ続けている。

あの有名な“Ｙチェア”が、１１世紀中国にルーツを持つ椅子「圏椅」をリデザインして生まれたのは有名な話だ。

クリントがもし、古典を読み解くことの重要性を説かなかったとしたら・・・、私たちが「北欧デザイン」と呼ばれる洗練されたチェアを見る日はこなかったのかもしれない・・・。

歴史は脈々と息づき、時代を超えて、

お互いに影響し合いながらうごめいているのだ。

クリントの功績は、古典を学ばせた事だけではない。

・デザイナーと職人の出会い

敏腕職人とデザイナーを引き合わせることで、高い品質と高いデザイン性を両立させることに成功した。結果として大量生産できるデザインが生まれ、 “コスパ”がよくて、かっこいい家具をみんなが使えるようになった。

・工場との緊密な連携と、商品力への厚い信頼。

彼らのデザインは、工場にとっては新しい加工技術を要求されるもの。それでも工場が協力を惜しまなかった背景には、“この商品をつくれば絶対に売れる”と言う信頼感や、常日頃から共に挑戦して行くような、パートナーシップを築く努力を怠らなかっただろう。

デザインで、世界を変えることができると示した、希有な例だ。

・言語・文化・技術・芸術・デザイン・家族は先人たちからの贈り物

思えば我々にも先人がいる。
脈々と受け継がれて来た、先祖という先人たち。

彼らが残してくれた、言語・文化・技術・芸術・デザイン。
そして親・兄弟・親戚・会社の同僚・近所の住民・世界のどこかの知らない人、私たち。

私たちが今ここにあり、この人たちと暮らせるのは、
他でもない先人たちの、汗と涙と血と努力との結晶が生んだ土壌があるからだ。

・先祖さん「ちょっとだけ良い今日にしておいたよ」

彼らは皆、過去から学んだ。
そして私たちに手渡してくれた。
「ちょっとだけ良い今日にしておいたよ」と。

・我々の使命は、少しでも良い明日を目指すこと

今日、私たちの使命は、その過去を切り離すことだ。過去から学び、今と融合し、過去を陳腐化することだ。

今を生きよう。少しでも良い明日を目指して行こう。過去を生きた人々の努力を、無駄にしないためにも。

歴史が証明している。人は逆境でこそつよくなれる。

・先人たちの後押しに励まされる。

エジプトの暑さと疫病に冒される兵士たちを集め、ナポレオンは言った。
「兵士諸君！！このピラミッドの上から、４０００年の歴史が君たちを見下ろしている！！」

今なぜか、そんな気分だ