コンビニ店員さんに学んだサービスマインド
家族の話を少し。
5年前、奥さんが当時4歳の長女を連れて近所のコンビニに立ち寄った際、長女がお菓子コーナーの前で、大好きスルメイカを手に「いるー」と駄々をこね始めた。
しかし奥さんは、現金をもっておらず、「あとで買いに来るから」と伝えるも、長女はさらにヒートアップ。
この様子を見ていた20代後半の女性店員が「私がおごりますので、大丈夫ですよ」と笑顔で声をかけてくれたのである。
奥さんは何度もお断りしたようだが、結局、言葉に甘えて、長女は念願のスルメイカをゲットしたのだ。
このエピソードは、ただ単なる「素敵な店員さんのいい話」としてではなく、サービス業を生業とする我々も大いに学ばなければならないことと思い、感じたことを2つにまとめた。
自己裁量は感動を生み出す
まず人は当たり前のサービスには感情は動かない。そりゃそうだ。コンビニを利用した際、商品が揃っていて「当たり前」だし、お客様に敬語なのが「当たり前」になっている。ここに「うわー、めっちゃすげ〜」といった感情は生まれない。
このスタンダードなサービスは、誰もが共通してできるものが提供される。充足されていて当たり前であり、ここに不足感をお客さんが感じると、不満足なサービスとして評価される。
だからこそ、スタンダードなサービスは標準化して、ムダムリムラの点検を定期的に差し込むことで、安心安全な質が担保できる。
一方で、このコンビニ店員さんは、上司にお伺いや確認を求めるわけでもなく、自己裁量でもって、「おごる」ことを判断した結果、お客さんである母と子に幸福感を届けることができた。
我々も「型」に沿って均一なサービスを提供しつつ、利用者の方に「喜ばれること」を自身の判断でプレゼントし続けることが、幸福感を感じてもらえる最良の手段だと思う。
ハイスペックな介護機器と綺麗なバリアフリーの建物だけで、客寄せすることは、くれぐれも避けたいところである。
サービスは人で選ばれる
もしかすると、後日コンビニへ来店したら、その店員さんがいて、「この前はありがとうございました」「また来てくださいね」なんて声を掛けられようものなら、たちまちこの方のファンになる。
数々のインフルエンサーたちが口にしている「サービスは人で選ばれる時代になった」ことは、福祉に従事する我々にとっても理解できる話だ。
例えば、利用者のご家族からの要望に丁寧に答え、レスポンスも早く、無駄な時間を省き、完璧に近い仕事をすすめるスタッフがいるとする。
一方で、勤務終了時刻が過ぎても、家族の顔を見たら駆けつけたり、利用者の方のことを考えて、色々な提案やチャレンジをしたりするスタッフがいるとする。
福祉従事者としての役割は同じだが、家族の方にとって、サービス評価が高いのは、後者であるケースが多い。
私の事業所は、年1回利用者のご家族向けにサービス評価アンケートをとっているが、まさにこの通りになっている。
満足度は「働く人」で測られる事実。「来年もあなたが受け持ちだと安心するわ」の一言だったり、「あなたが担当になって、本当にこの子は変わりました。ありがとう」の感謝の言葉なんか聞いたりすると、まさに「人」で選ばれることがリアルに分かる。
さぁ
自分には
何ができる?
管理職になった今でもこの「問い」を繰り返し、サービスマインドを磨き上げている。