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私のイチオシ「笑えるジャーナリズム系ポッドキャスト」
こんにちは。アライ@翻訳です。
(音声版でも配信しています。リンクはこちら)
今回は、おすすめポッドキャストの一押しエピソードのご紹介です。
ジャーナリズム系のポッドキャストって聴いたことありますか?一つの事件やニュースを掘り下げるもので、最初から最後までシリアスで真面目なものが結構多いんですが、今回おすすめするのは、「笑えるジャーナリズム系ポッドキャスト」です。
1.番組タイトル
番組タイトルは「Reply All」
“‘A podcast about the internet’ that is actually an unfailingly original exploration of modern life and how to survive it.”ー The Guardian
この”インターネットについてのポッドキャスト”は、現代生活とその生き残り方を独創的に探求している番組である―ガーディアン紙
ザクっと言うと、インターネットに関する事なら何でもテーマに扱う番組です。PJ Vogt、Alex Goldmanという2人のパーソナリティーが絶妙な会話をはさみながら伝える、軽いタッチのジャーナリズムという感じでしょうか。
この番組、Alex Blumbergが始めたポッドキャスト制作会社Gimlet Mediaの立ち上げ当初からの人気番組で、今までに150を超えるエピソードが配信されています。番組初期のエピソードは20分前後ですが、最近では大体30~1時間程度と長いものもあります。
ポッドキャストのタイプで言うと、2人の仲良しパーソナリティーの会話タイプが入ったノンフィクションストーリーテリング。公式サイトでは原稿(スクリプト)も公開されているので、英語学習として使うにも便利な番組です。
2.一押しエピソード あらすじ
さて、今回の一押しエピソードのあらすじです。
取り上げられたテーマは電話詐欺。2017年に配信された前半後半に分かれた2つのオリジナルエピソードと、2020年に配信された特別追加エピソードと合わせて3本に渡る大作です。
話はパーソナリティーのAlexにかかってきた詐欺電話で始まります。
Appleの技術サポートから、「あなたのiCloudが危険にさらされている可能性があります」という機械メッセージが届きます。番号を見て明らかに詐欺だと分かっていたにも関わらず、興味本位でAlexがその番号にかけ直すのです。
電話の先にいたのは、インド系と思われる男性の声。Appleの技術サポートだと言い張る相手に、詰め寄るAlex。最終的に相手が詐欺だと認めます。そこから、1日にどのぐらい稼ぐのか、どうやって詐欺の相手を決めるのか・・・数分話した後、電話が切れます。
凄いのが、そこから何度もAlexが同じ詐欺相手に電話をかけ直すんです。「ちょっと話をしよう~」みたいな気軽な感じでかけては切られ、別の人にどんどんたらいまわしされながら、少しずつこの詐欺組織の全貌を暴いていこうというのが、この第1話。
第2話では、諦めないAlexと仲良くなってしまった詐欺集団の一人が、「インドにおいでよ」というので、実際にAlexがインドに行くという回。詐欺集団のアジトを探したり、元従業員に話を聞いたり。怪しい雰囲気満載の”友達”を相手に、ジャーナリストが真実を手に出来るのか?ちょっとハラハラするエピソードです。
そして、月日がたって今年2020年にアップデートされた特別追加エピソード。ここでは、オリジナルエピソード配信時には分からなかった新たな真相が明かされます。Alexにとっては旧友とも思える詐欺集団の一人と電話で再会し、ちょっと暖かい気持ちなりつつも、詐欺集団の根深い問題も取り上げる最終エピソードです。
3.おすすめポイント
今回のおすすめポイントは一言、笑えてしまうのにしっかりとジャーナリズムなところです。
普通、電話詐欺だと思ったら、かけ直しませんよね。この興味本位でかけ直した事がきっかけで、相手と仲良くなってしまい、しまいにインドまで行くなんて、結構飛んでる話だと思うんですが、同時にこの詐欺集団の実態も明らかにしていくというジャーナリスト根性もしっかりと見える(聞こえる)番組なんです。
例えば、この詐欺集団のリクルーティングの実態が元従業員とのインタビューで見えてきます。
元従業員の話ではインド内でも比較的貧しく、同時に英語のスピーキングレベルの高い都市の高卒や大学新卒がターゲットになっているらしく、彼自身も最初は普通のコールセンターだと騙されて雇われたそう。
入ってみて「怪しい」と気づいたときにはもう遅く、雇われた側はまだ10代20代前半で、自分の個人情報も既に握られている状態では中々この集団から抜け出すことが出来ず、わずかな給料のために働き続けるしかないという現実。
根深い問題も明らかになる中、やはりこの2人のパーソナリティー自身の人の好さと個性が会話にも出ていて、重い話を受け止めるクッションになってくれているような、絶妙なバランスのエピソードです。
4.最後に
ちなみに今回私は、第3話の追加エピソードから聴いてしまいました。これが最高に面白く、後から2017年のエピソードにさかのぼって残りを聴いたという順番です。
第3話の最初に、ネタバレになりますが今までのいきさつを話してくれているので、簡単に30分でこの話を聴きたいかたは、いきなり第3話からでも楽しめます。
詐欺関連のコメディーでおすすめがもう一つ。(詐欺関連のコメディーばっかり追っているわけじゃないんですが笑)
イギリス人コメディアンのJames Veitchも面白いです。「スパムメールに返信したらどうなったか?」という体験を、TEDでスライドショーを使って発表しています。
個人的には興味本位でスパムメールに返信したり、詐欺電話にかけ直したりはしませんが、詐欺相手もやはり人間。真面目に返信してみると、結構面白い回答が戻ってくるようです。
今回はちょっと変わったテーマを取り上げたポッドキャストでした。仕事が溜まっている連休明け、ちょっとした気分転換にでも聴いてみてください。
それでは、次回のnoteで。
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![新井里菜(あらいりな)|Audio Journalist](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/169379080/profile_27e4e17cd7deb8803997743d7c1d39c6.jpg?width=600&crop=1:1,smart)