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オーストリア1 大人と子供の温度差を埋めたもの

旅にまつわるBGMをかけながら、記事をお楽しみ下さい♪
♪エリーゼのために♪

訪問国4 オーストリア

今こそオーストリアへ……母と祖母の想い

将来、私の第2の故郷になり、人生の内でも特に美しい時期を過ごすことになるオーストリアに初めて行ったのは、中学1年生の時だった。オーストリアを一章で語り尽くすことは到底不可能なため、オーストリアは別の企画でより詳しく書きたいと思っている。今回は、初めて行った旅行に焦点を当てよう。

弟が少年野球チームに入り、家族旅行に行きにくくなる前に…と、母と祖母はすごい勢いで、オーストリアをじっくり堪能できるツアーを見つけ出し、申し込んだ。

父はシンガポール旅行でこの年度の有休を使い果たしたのか、同行が叶わなかった。
それでも、愛する妻と敬愛する(?!)義母の長年の夢を優先し、留守番を決意した彼は、まるで時に聖人のような人だと尊敬する。

私と弟がオーストリアに行くことを教えてもらったのは、母と祖母がツアーを申し込んだ後だった。
「ええっ、アメリカじゃないの?しかもパパ行かないって、どういうこと?」
「ぬいぐるみとゲームは、持って行っていいん?」

期待通りの答えを、全く返さない困った子供達だった。

「もちろん、どっちも持って行っていいわ、T君。理菜ちゃんと、ウィーンでも遊べるよ」
「やった!理菜ちゃん、行こ〜!」

英語が話せるなら……

賢い母と祖母は、まず弟を味方につけた。
「そうよ、理菜。ピアノやってたのに、少し位、”音楽の都”に興味ないの?」
「うーん。それよりハリウッドに行きたいよ……」

当時の私は、ピアノは完全に趣味以下で、テニスでオリンピック金メダルを取る事を夢見たり、ハリウッドの仕事でアメリカに行くために、英語を少しでも話す事に夢中だった。

「なら、あなたはやめとく?残念!英語も話せるのにねぇ」
この言葉が、当時の私には一番効いた。
「英語、オーストリアで話せるの?なら行きたい!」

動機がおかしい子供達を連れて、母と祖母は得意げにオーストリアに飛び立った。

ウィーン国際空港に到着して

ウィーン国際空港に着いて、まず今までの海外旅行と違ったのは、すこぶる寒いという事と、言語が全く分からないということだった。
ハワイ、シンガポール、マレーシアは常夏だったが、この時オーストリアは冬。
本当に寒かった。
しかもアナウンスで最初に流れるドイツ語は、私達に全く馴染みのない言葉だったので、とても遠い所にきた感があった。

同じツアーの人々、上品で穏やかそうな添乗員さん、人の良さそうな現地ドライバーと一緒にバスに乗り込んだ。
留学してから、常に様々な感情をくれることになる平和で美しい平原が、この時から私達を迎えてくれていた。
絵画でしか見たことのないような美しい景色に、中学一年生もまた、魅了された。
「オーストリア、いい国かも……」
ワクワクする気持ちは、オーストリアに到着してからじわじわと高まって来た。

大人と子供の温度差を埋めるものが、いよいよ登場!

数時間した所でパーキングエリアに停まった。
売店で、祖母は歓声を上げていた。
「本当にあるじゃない……!スワロフスキーよ!私達、実際オーストリアにいるのよ……!」
スワロフスキーの上品なネックレスを見つけ、祖母は完全に舞い上がっているようだった。

「ママ、おばあちゃん!これ食べたい!」
私達兄弟が見つけて来たのは、見るからに美味しそうなハリボーの、コーラの形をしたグミだった。
当時はまだ日本で見かけることのないお菓子だったため、私も弟もこれまた舞い上がっていた。
「お母さん、スワロフスキーは免税店で買った方がいいわよ。あなた達はグミね。はいはい」
一番冷静だったのは、母だったのではないだろうか。

しかし、バスに乗って早速ハリボーのグミを4人で食べた時、全員がこのコーラ味のグミに夢中になってしまった。
たくさんの砂糖が、圧倒的にコーラのグミを美味しくしていた。

「何これ!美味しすぎる!」
なかなか噛み合わない大人と子供を一つにさせ、取り合いになるまでにさせたのは、オーストリアの神童モーツァルトでもハプスブルク皇后エリザベートでもなく、意外にドイツのグミだった。

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