
母(64)、ヴァイオレット・エヴァーガーデンにハマる
出会う順番って大事だよな、と思った出来事の話。
金ローよ永遠なれ
朝食を食べている時、母がおもむろに私に言った。
「そういえば昨日、ばいおれっとなんとかを観たよ」
私は食い気味に反応する。
「え!!!??ヴァイオレット・エヴァーガーデン!!?」
「そう、それ」
先週末の金曜ロードショーでやっていたらしいそれを母は偶然目にして、そして最後まで観たらしかった。
ちなみに私がアニメそのものにハマるきっかけになったがこのアニメで、以前から何度か母には勧めていたのだけど、ついぞ観る機会を設けられずに今日まで来てしまっていた。
金曜ロードショー、ありがたし。
「どうだった?」
「綺麗で素敵だったねえ」
そうなんだよ。綺麗で素敵なんだよあのアニメは。
その後も私と母はこのシーンが良かっただとか絵の緻密さだとか、はたまた京都アニメーションの火事についての話だとか、ひと通りのことを語らった。
母は基本的にドラマフリークで、特に橋田壽賀子作品のような、物語の筋が通りつつ人間の非情ややるせなさを描く作品が好きである。
必然、なかなかに母の感想はいつも的を得る。
推し並べて
私がツレと映画館で「すずめの戸締り」を観たあと、「良かったよ。ツッコミどころはあるけどそれを凌駕するストーリーの良さと絵の綺麗さだった」的な、お前は何様なんだと言われてもおかしくはないくらい偉そうな感想を述べていた。
それを聞いた翌週、母は父と一緒に映画館まで観に行ったらしかった。
余談だが実家の近くの映画館はことごとく潰れてしまっていて、今では車で1時間かかる場所にポツンとあるばかり。映画館へ行くことは森逸崎夫婦にとっては割と一大イベントである。
いつもなら観終わってからすぐに「良かった」なのか「なかなか面白かったね(=微妙だったよ)」なのか感想が送られてくるのだけど、その日はどうも連絡が来ない。
私は早く母とまた語らいたいなと思っていたもんだから、思わずこちらから「どうだった?」と聞いてしまったのだけど。
母から来た返事がこうである。
「綺麗だったし、面白かった。父ちゃんからも後で感想入ると思う。母ちゃん的にはバイオレットエバーガーデンの印象強くて。そちらの方が組み立て緻密で筋通ってた気がする。」
Oh…。
全くもって否定できない。
すずめの戸締りも良かったよ。良かったし綺麗だったよ。でも、うん。そうだね。
母ちゃん君は、きっと見る順番を間違えたんだ。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を「バイオレットエバーガーデン」って書いてしまう母とはその後、アニメ版を一緒に見直した。
やっぱり何回観ても綺麗で素敵なアニメだった。