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好きとアイドルとわたしと吃音のおはなし
みなさま、はじめまして。またはいつも見守っていてくださりありがとうございます。2023年の3月31日に卒業が決まっているタイムリミットアイドルAlice in Retrogradeのリンと申します。
いつか言わなくちゃいけないとはずっと思っていましたが、打ち明け話っていざしようと思うと怖くて不安で話すのをここまで伸ばしてしまいました。
まずはなぜ、今こうして意を決して打ち明け話をしようと思ったのかについてすこしだけお話させてください。
理由としては大きく2つあり、1つ目はオーディションからちょうど一年経ったことと、近い将来大変ありがたいことに演技や配信をさせて頂く機会ができたことでライブやSNSだけでの活動時よりもずっと多くのひとにわたしの声が届く環境に身を置かせてもらえていることのふたつです。
これまで誰にも打ち明けられなかった秘密を公表するのは正直怖くて不安で、でもそこも含めてリンというひとりの人間だからいつかしっかりお話しておきたいと思っていました。
そう、頭の中ではわかっていてもなかなか決心がつかないので、今もこうして引き延ばしています。でもオーディションから一年という節目がきっかけとしてわたしを奮い立たせてくれました。今を逃したら、たぶん一生言えないと思います。わたしはそういう人間です。
そして将来的に配信や演技をさせてもらえる機会を頂けたこともかなり大きなきっかけでした。ダンスや歌がメインのライブや写真がメインのSNSとは違い、本格的に配信や演技が始まってわたしの言葉や声が商品や作品になる前に言わないと、もう打ち明けるタイミングはないと感じました。
また現在、実質アリグラがAlice in Retrogradeがわたしひとりでの活動になっているため公表後にどんな言葉を頂いても、大切なメンバーや元メンバーに迷惑をかけてしまう心配がない点も公表への後押しになりました。
突然ですが、あなたにとってアイドルとはなんですか。わたしにとってアイドルとはずっと夢や魔法のようで、憧れで、幸せや元気をもらえて、辛い時には光になって未来を照らしてくれるような存在でした。だからこそ今現在アイドルであるわたしが打ち明け話をすることによって、失望されて嫌われてしまうのがどうしようもなく怖く感じています。いつも感謝してもしきれないくらい応援して下さる方々に支えられているのに、そんな心配をするなんて失礼なこともわかっています。
でも大切だからこそ、本当のわたしを見せるのは怖いし、去って行かれたりすると純粋に悲しいしひじょうに寂しいことなんです。
アイドルのわたしはみなさまに支えられてはじめて存在することが出来、息をし、ダンスや歌、笑顔を通して幸せを届けることが出来ます。だから感謝と愛は感じた瞬間にしっかり伝え信頼して、みなさまに応援してもらえる、そしてわたしもその気持ちに誠実にお返しできるアイドルでいたいなと常日頃から思っています。そんな気持ちを持って、打ち明け話をさせていただきます。
ここからはどうか同情をしないで、笑わないで、無理に理解しようとしないで、わたしを可哀想だと思わないでただ読んでほしいです。
へえ、そうなんだ。くらいの温度で、わたしのことを知ってもらえたらうれしいです。
長くなってしまいましたが、打ち明けます。
わたし、RINには吃音があります。
ライブを実際に見てもらえたり、YouTubeでライブ映像やダイジェストを見てもらう中で薄々勘づいている方もいるかもしれませんが、幼い頃から現在までわたしには吃音というコミュニケーション障がいがあります。
これまでそのことを家族(幼少の頃に吃音と診断されて以来)にも友人にもメンバーにも運営さんにもファンの方にも誰にも相談をすることや打ち明けることはできませんでした。それはみんなを信頼していないから、ということではなく自分の気持ちを上手く話せなかったり、奇異な目で見られてしまうのではないかと恐れて口に出せなかったわたし自身の問題です。
また実はTik Tokにあげている動画はすべて自分で編集しているのですが、そちらではかなり流暢に話すリンが見られると思います。というのもわたしが編集できる動画はすべて吃音が出ていたところはすべてカットしてなかったことにして繋げています。ちょっとでも吃音の片鱗が見えると、そこが永遠に記憶の中で何度も何度も再生されて、自分のことを嫌いになりそうになってしまうからです。編集は応急処置みたいなものです。
だからこそ、これまで全然気にならなかったよって方も多いと思います。
さて。そもそも吃音や吃音症という言葉自体を初めて目にするひともいると思うのですこしだけ吃音についての説明をさせてください。
※ただ吃音症と一口に言ってもひとによってコミュニケーションを取る時の難易度であったり、吃音の種類については個人差が大きく全然ちがうのでこの記事でほんのすこしでも興味を持ってもらえたら、個人的に調べてもらえたら嬉しいです。
幼児期には10~20人に一人、思春期成人期には100人に一人が吃音を持っているといわれています。こう、数字にすると意外と身近に吃音を持つひとがいることがわかります。
吃音症と言ってわかりやすい代表的な例をだすと、話しをする時にスムーズに言葉を言えなかったり、詰まったり、特定の言葉(苦手な母音や子音の場合もある)がうまく言えなかったり、繰り返してしまったりすることによって、流暢にコミュニケーションを取ることが出来なくなってしまう症状が出たりする疾患であり、障がいです。
上記の代表的な例は大きく三種類に分けることが出来るので、その分類も紹介させてください。個人差が大きいのでこの三種だけが症状というわけでも、1の症状だけがあるひとや、2と3の症状があるひと、程度の大きさ等は本当に色んなひとがいるので一括りに無理にまとめようとせずにふーんと聞いてもらえたら幸いです。
ここでひとつ下記に例文を出させて頂きます。
「わたしたち、アリスインレトログラードです」
1. 連発、連続型
「わ、わたしたち、アリアリアリアリスインレトログラードです」のように言葉を繰り返してしまう症状が出ます。わたしはよくグループ名の紹介でこの状態になって「ごめんなさい、嚙んじゃいました」って誤魔化してました。
2. 伸発型
「わーー--たしたち、アリスインレトログラードです」のように語頭の音が伸びてしまう症状が出ます。わたしは今のところ伸発がないので説明にわかりにくいところがあったら、申し訳ないです。反対に伸発がある方には差支えがなければどんな症状か教えて頂けたらとも思います。
3. 難発、無音型
「わたしたち、⋯⋯⋯リスインレトログラードです」のように喉が詰まって最初の音が出せなかったり、場合によっては最初の音は出せてもそれ以降の音が出せなかったりする症状が出ます。陸地で溺れているような、喉元がきゅっと締まって息が止まるような感覚です。わたしは高校生くらいから難発がかなり増えてきてしまって、最近だとあるライブ後の物販で「アリスインレトログラード、物販始めます」のアリスがどれだけ息を吸っても言えなくて泣きかけたことがあります。「ごめんなさい、声が掠れちゃって出なくなっちゃって」と、たしかこの時も誤魔化していました。
その他にも声を出す時に身体や顔に力を入れて吃音の症状を脱しようとしたり、話し方をからかわれたり上手く話せない経験の積み重ねからコミュニケーションを避けたり、声が出せなくなったり、言えない言葉を言える言葉に言い換えたり、声を出せるまでの間を繋げるため接続詞を多用する症状が出ることもあります。
これらは自分でどうにか出来るものではありません。決してふざけているわけでも、わざとやっているわけでもないということを知ってもらいたいです。そしてひとりでも多くの吃音を持っている方がからかわれたり、話し方を真似されることのない未来にしていけたらいいなと思います。
治したい、どうにかしたいといつも思っていても今現在、残念ながらわたしは治っていません。
なので実際にわたし自身はかなり言えない言葉が多く、上記の回避の中で特に言い換えはよく使います。わたしは母音の「i」や「a」が言いずらいので「アリス」というべきところを「不思議の国のアリス」と言ったり、「いぬ」が言えなくて「わんこ」と言い換えたりして暮らしています。
アイドルとしての名義を考えた時も優先事項はどんなMCの時でもちゃんと言える名前にしようと考えて、リンになりました。
ただ言い換えが役に立たない場面にも生きていると遭遇してしまいます。例えば接客業に挑戦した時はすごく苦労しました。「いらっしゃいませ」や「ありがとうございます」の言葉は替えがきかなくて、最初はなかなか言えませんでした。
ちょっとだけお行儀が悪いのですが「⋯⋯ぁりがとうございます」や「⋯⋯ぃらっしゃいませ」のように言いにくい言葉を小さく発声する方法でなんとか今でもなんとか接客業を続けることが出来ています。オムライス屋さんで働いていてわたしだけ居酒屋さんみたいな発声だねと言われることもありましたが、わたしの場合は環境への慣れによる緊張の緩和と初対面のひとには吃音が出にくくなるので一年経った今でもオムライス屋さんで働かせてもらっています。感謝しかありません。
また吃音には良く出る活発な時期とあまり出ずにコミュニケーションをすごく取りやすい時期が周期的にまわってくるという特徴があります。これについては周期の長さやそもそも吃音があるひとすべてに周期があるのかもわからないので、あくまでわたしの話になりますが。これからライブ活動や配信においてその周期の違いが顕著に表れてしまう場面があるかもしれませんが、あたたかく見守っていただけたらうれしいです。
小さな頃から今まで変な喋り方だと言われことや、どうしてそんな喋り方をするの? と純粋な疑問を投げかけられること、上手く話せなかった時に相手に怪訝な顔をされることは本当によくありました。そのたびに生まれてからずっとこうなの、と言ってもなかなかわかってもらえないことの方が多かったです。
数年前に顔を出さずに配信活動をしていた時も、わたしを作る情報が声だけだったので配信中に出る吃音を「どもり」としていじられることも多々ありました。その度にそっか、わたし以外のひとから見るとそう見えているんだ~「この子はどもるけど~だよ」みたいに、吃音っていうレッテルが永遠に貼られたら剥がせないんだって気が付いてしまって。その時は自分でも吃音自体をすごく気にしていた時期なので、言葉ひとつひとつにすごく傷ついて悲しくなって泣く日もありました。
でもこうして公表することによってまた、将来的に配信や演技、ライブをしたら同じようなレッテルを貼られてそういう目で見られるとか考えなかったのか。と思われそうなので先にそこは釈明させて頂くと、わたしは話すことが上手ではないだけで決して話すことが嫌いなわけでも苦手なわけでもありません。
むしろわたしはひとと接することやお話をすることがすっごく好きです。身近に転がっている素敵なことはぜんぶみなさまと共有したくなっちゃう質なんです。流暢に話せたなら、もっとたくさん色んなひととお話したかったと思う時もありましたが。わたしがわたしの文字や言葉や声や自身を使って表現することはどんな壁があっても決してやめたくない諦めたくないので、苦しいこともたくさんありますが好きで公表させて頂きました。
ある意味、なにごとももう諦めたくないという気持ちになった出来事をすこしだけ紹介させてください。きっかけはちょうど一年前。募集されていたとあるアイドルこオーディションに意を決して応募したことです。そしてめでたくオーディションに合格し、グループの方針として挑戦することを諦めず一年半頑張ろうと心に決めたことがわたしを変えてくれました。それまで物怖じばかりするわたしをAlice in Retrogradeの白色のリンにしてもらえて、選んでもらえたことによって、わたしでは出来なかったこともリンだから出来ると色々挑戦させてもらいました。
こうして奇跡的に吃音があり幼い頃からの夢だったけれど、半ば諦めかけていた憧れのアイドルを今現在やらせて頂いていることはわたしの自信になっています。
だからレッテルを貼られてもどう見られても、やりたいことややってみたかったけど諦めていたことに胸を張って挑戦することを今のわたしは恐れていません。吃音以外でもまだどうするのが正解だったのかわからない時や事柄もありましたが、2023年3月末までというタイムリミット付きアイドルには迷っている時間はありません。
どうせわたしにはできない。
そんな今のわたしをがんじがらめにする迷いや悩みを断ち切り、ひとりの人間としてアイドルをやらせてもらっているリンをもっといろんなひとに知ってもらいたいです。
またオーディションに応募した志望動機には
「学生生活の最後にアイドルとして、だれかを笑顔にするために歌ったり踊ったりしたいという夢を叶えられたら、可愛くないと否定してきた自分に少し自信を持てるようになるのかなと思いました。そして、いつか自分だけの可愛いを見つけていきたいと考えています。またその一歩が目に見える形での勇気として、私自身だけではなく、いつか見つけてくれた方への力になったらいいなと思い、応募することを決意しました」
とも書かせて頂きました。
この言葉はわたしがそれまでに持っていた可愛いへのコンプレックスと一緒に吃音についても同じように考えて出た言葉です。より多くのひとへ声を届けることができる環境を無駄にしないで、挑戦を恐れず諦めずに一歩一歩進んでいきます。
ということで……長くなってしまいましたが、壁も悩みも個性も剥がせなかったレッテルもぜんぶ、自身の成長に繋げていけるアイドルになるためにこうして打ち明けさせて頂きました。
これがわたしにとっての「アイドルとわたしと話すということ」です。長々とわたしのことばかり話してしまいましたが、最後にすこしだけ。
この記事は主に吃音について知ってもらいたいという意図で書かせていただきました。なので決して、こんなに大変だから辛いからあなたに⋯⋯
なにか特別なことをしてほしい。
ひとより出来ないことがあるから、特別扱いをしてほしい。
ということではありません。わたしが望むことはただ吃音を持っているひとがいること、リンというひとりの人間について知ってもらいたい。
あなたが友人と接する時ように、家族と接する時のように。同じ人間であるということを知って頂けたらうれしいです。ただそれだけです。
しかし同じ吃音を持っていても症状や程度の重さはひとによってちがいます。またそのひとによって望むことも当然ちがってきます。
なのでわたしではない吃音を持っている方に出逢ったら、その時はこの記事のことを思い出しつつも、ただその方のお話を最後まで聞いてどんな対応をしてほしいのか、知ってみてください。
こんなに長い記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。多くのひとに知ってもらえることで、すこしでも生きやすい世界になったらうれしいです。拙い、至らない部分も多々あったと思いますが、本当に最後まで読んでくださってありがとうございました。
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Alice in Retrograde しろいろ担当 RINでした🕊