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ラトビア紀行⑤ 〜ボルシチカーシャスィールニキ〜
このご時世にボルシチをロシア料理とみなすのは違う気がする。
ボルシチ論争をこの場でする気はない。
ただ、ボルシチと一言で言っても、奥が深い。
シベリアに行った時、初めて、シベリア式ボルシチを見た。
ボルシチはロシアやウクライナだけではなく、バルト3国やポーランドなどでも食べられている。
ベラルーシやポーランド、ラトビアやリトアニアなどでは、夏に冷たいボルシチ(холодник, холодный борщ)が好まれている。
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とある記事にも書かれているように、地域ごとに特徴がある。
日本のお雑煮のようなところだろう。
もちろん、各家庭ごとに、秘伝のレシピもある。
留学最初の登校日の夜、先生が、特製ボルシチを作ってくれた。
お母さんが作っているのを目で見てレシピを学んだという。
ソビエトのお母さんの味なんだろう。
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そのボルシチは、モスクワやシベリア、日本で食べたどのボルシチよりも美味しかった。
また、別の日の朝には、スィールニキというロシア風パンケーキを作ってくれた。
これは、朝ご飯の定番の1つらしい。
これも、お母さんのレシピを目で盗んだという。
このパンケーキには、творог (トヴァローク)というロシア風カッテージチーズが欠かせない。
私たちが最初に思い浮かべるようなパンケーキとは違い、このトヴァロークが主役なのだ。小麦ではない。
作り方はすごく簡単。焼く時間も合わせて15分もあれば出来る。
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甘さ控えめで、お餅とは違うモチっとした感じがとても美味しい!
ロシア風サワークリームのсметана (スメタナ)をつけて食べるものよし。東欧で広く親しまれているВаренье(ヴァレニエ)という果物の砂糖煮をつけて食べるのもよし。ベリーを添えてメープルシロップや蜂蜜で食べるものよし。
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スィールニキを食べてから語学学校に行った時ったら、ロシアの子供になったかのような気分で、ルンルンしていた。
朝ご飯の定番といえば、もう1つある。
ロシア風お粥のкаша (カーシャ)だ。
カーシャは、米、そばの実、オートミールなどの穀物を、お湯やミルクでふやかして食べる。甘いカーシャと甘くないものがある。
甘いミルク粥を1度だけ食べたことがあったが、あまりの不思議な味に驚き、それが最初で最後だった。
先生も、甘いミルク粥は苦手だという。
熟し切ったバナナを使った、オートミールのカーシャを作ってくれた。
ミルクではなくお湯でふやかしたもの。
おそらく、オートミールの食べ方で最初に思いつくようなものかもしれない。
オートミールは個人的には大好きで、日本でもよく食べる。
なんなら、似たような食べ方をしたことがあった。
それなのに、オーソドックスなバナナのカーシャの素朴な甘さと美味しさにど肝を抜かれた。
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テキトーに作るのではなく、ロシア人のレシピを真似て、日本でリベンジを果たそう。
こんなかんやで、わずか2週間のステイでありながらも、ロシアの家庭の味を楽しむことができた。
はあ、なんて幸せなんだ…。
結局は、家庭料理が最強!
日本にいても、そう思う。
どんな高級な天ぷらや寿司よりも、お母さんのお味噌汁と卵焼きが1番美味しかったりする、
そう、お家の味がナンバーワンなのよ。
ママの味、って口が滑ってしまいそう。
父親だってご飯を作ることはあるけれど、母親の味で育ってきたし、ホームステイ先の先生も母のレシピを引き継いでいるのだから。
でもいつかは、パパとママ、ママとママ、パパとパパの味がミックスしてそれが家庭の味になったらとても素敵だなと。
そして、ママの味って言った時に、それが、家庭の味を指すのではなく、母乳に近い味を指すだけになっていたら。
だから、敢えて、ママとは書かないの。
ふふふ、隙さえあれば声をあげてやるわ。